□喘息死委員会

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喘息死委員会
2006/8改定
   日本小児アレルギー学会・喘息死委員会は喘息死を防止するため、活動しています。
 日本小児アレルギー学会・喘息死委員会では、喘息患者さんが死亡した場合、原因を問わず委員会に登録するよう求め、広く喘息死の原因を探り、対策を考えてきました。
 2006年4月までに215名が登録されました。
 これまで登録され、喘息が関与しして死亡したとされた症例の死亡年別状況(図1)、死亡年齢・性別状況(図2)を示します。
 登録された症例は、個人が特定できないように数値化され、原本は破棄され、プライバシーは保護されます。
 わが国の喘息死亡率(人口10万人対)は総数(全年齢、図3)で減少し、増加していた5~34歳の喘息死亡率(図4)も減少して下げ止まった観があります。
 小児(図5、図6)では、増加していた男子、10~19歳の死亡率がようやく減少し、女子も減少しましたが、安心しすぎると再び喘息死が増加する危険があります。
 喘息が軽症でも、ごくまれには最初の重症発作で死亡することもあります。
 喘息死を防ぐために以下のことを心がける必要があります。

図1.日本小児アレルギー学会・喘息死亡委員会登録状況(2005)
(喘息死亡例192例、死亡年による)
 
 

図2.喘息死亡年齢
喘息死委員会登録例(192例)
 
 

図3.わが国の喘息死亡率(総数)の推移
(1950~2004年)
 
 

図4.喘息死亡率(年齢階級5~34歳、1950~2004年)
 
 

図5.小児の喘息死亡率の推移
(0~4歳、1950~2004)
 
 

図6.小児の喘息死亡率の推移(5~19歳、1950~2004)
 
 
 
1)適切な長期管理
 喘息死を防ぐためには、日頃から、アレルゲンを除去し、医師の指示に従って服薬して発作を十分抑え、日常生活を楽しめるような状態を保つことが最も重要です。
 患者さんが自分に合った治療を受けるには、主治医に自分の毎日の発作の様子を正確に知ってもらう必要があります。そのためには、喘息日誌やピークフロー記録を毎日つけ、診察のとき主治医に見てもらいます。また、定期的に本人が受診し、主治医に喘息の状態をよく伝え、検査などを受けることも必要です。
 発作の予防は、原則として、長期管理薬(吸入ステロイド薬、抗アレルギー薬、テオフィリン薬に、時には長時間作用型β2刺激薬を併用)で行います。
小児の吸入ステロイド薬の使用について多くの研究報告が集まりつつあります。吸入ステロイド薬の規則正しい吸入は、喘息死のリスクを減らします。 主治医に吸入ステロイド薬が必要と判断されたら、指示に従い、吸入補助器具を使って吸入し、吸入後はうがいをします。
 治療を勝手に中断することは危険で、喘息死のリスクを高めます。主治医の指示に従った、正しい服薬が必要です。
 
2)正しい吸入β2刺激薬の使用
 吸入β2刺激薬(短時間作用型)は、原則として、発作時に頓用します。β2刺激薬は発作をおさめることは出来ても、喘息を良くすることは出来ません。 
 吸入β2刺激薬は、発作の初期に吸入すると効果がありますが、重症発作では効果が得られても短時間に過ぎず、楽になっても、再びひどい発作が起きてきます。中発作以上で吸入しても短時間しか楽にならないときや大発作では、吸入後すぐに病院を受診する必要があります。 
 吸入β2刺激薬に頼りすぎ、救急室を受診するのが遅れ、喘息死に至ってしまった患者さんが多いので注意するよう、喘息死委員会から警告が出ています。
 β2刺激薬吸入を頻繁に使用したり、使用回数が増えた場合は、治療の見直しが必要なことを意味していますから、主治医に相談します。
吸入β2刺激薬の使用にあたっては、下記のことを十分理解する必要があります。
  1. 過度依存・過信を来しやすく、これが喘息への安易な対応や発作時の適切な受診時期の遅れを来す要因になる可能性がある。
  2. 発作止めの頓用薬である。
  3. 使用回数の増加は気道炎症に対する治療が不十分で、治療をステップ・アップする必要性がある可能性を示しており、主治医と相談する必要がある。
  4. 思春期喘息では特に上記の事柄を来しやすい。
  5. 使用上の注意を徹底し、用法・用量を守る。
 
3)急性発作への正しい対応
 発作のときどうすればよいか、医師によく指導してもらい、出来れば治療内容などを書いたメモをもらっておきます。また、発作の時どうするか、家族とも相談しておきます。 発作が重くなって話すのもつらいときは、歩くと、急に悪くなることがあります。このような時には周りの人に救援を求め、場合によっては救急車を呼んでもらいます。
 重い発作のめやすは苦しくて話も出来ない、ピークフローも吹けない、横になっていられず起きあがってしまう、尿や便を失禁してしまう、意識がもうろうとしてくる、汗をかいているのに手足が冷たい、などといった症状が挙げられます。
 病院に来るのが間に合わず、命を取りとめても低酸素脳症(脳の酸素が欠乏して意識が戻らない状態のままになる、いわゆる植物人間)になってしまい、余病を併発し亡くなる患者さんが、喘息死亡例の中に増えています。
 発作が起き、主治医から助言された治療をしても良くならないときは、我慢しすぎないように注意し、早めに病院を受診しましょう。重くなるようなら、迷わず救急車を呼ぶことが大切です。救急車は酸素を運んで来てくれます。

 喘息は、最近の正しい治療を根気よく続ければ、多くは健常人と変わらない生活を送れる病気になっています。しかし、治療をいい加減にしていると気管支に元へ戻らない障害を残し、ごくまれには喘息発作で死んでしまうこともある、ということを忘れないでください。
2006年5月

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