諸星大二郎「コンプレックス・シティ」 双葉社 1999.10.3

諸星大二郎「コンプレックス・シティ」 双葉社  SFあり、怪奇・幻想あり、童話風あり、ブラックユーモアあり、男女の葛藤ありの短編集です。残念ながら作品はどれも今一つ低調なのですが、かえって作者の貪欲なまでの創作欲が読み取れます。
 表題作の「コンプレックス・シティ」もそうですが、この作品集のギャグや笑いはややツボをはずしている印象を受けます。あらゆるジャンルに果敢に挑む作者ですが、ギャグの分野はどうも苦手らしいですね。この人の笑いは大向こうを唸らせるように狙ったものでなく、たくまずにおのずからしみ出てくるようなおかしさにこそその本質があるようです。
 それでも、諸星ワールドが満喫できる作品集であることには間違いありません。

by BigBrother