この作品を読んだのはもう20年以上も前のことになります。手塚治虫氏自身の言葉によれば、「この『やけっぱちのマリア』は、性教育をテーマにして書いた青春もの」ということです。性教育の部分はさすがに手塚氏が医学部卒業だけあって、学問的です。それにしても、今からすれば、性に関する知識も性描写もおとなし過ぎて、ものたらないのですが、手塚氏によれば「先頃、この作品が、子どもに対して行き過ぎではないかということで、問題になりました」ということですから、思えば世の移り変わり(このコミックの初版は昭和46年)は凄じいスピードですね。
設定の奇抜なことは、現在でも驚くばかりです。マリアは焼野矢八の心の一部が、エクトプラズムとして実体化して分離した、文字通りの分身です。喧嘩や暴力に明け暮れる一匹狼の彼が、このマリアを通じて、自己成長をとげるというストーリーです。
女番長の雪杉みどりにしろ、その子分の若松にしろ、死刑囚の1313号にしろ、登場人物の大半が、片思いだったり、愛に飢えていたり、愛を素直に表せなかったりするキャラクターなのも、この作品に奥行を与えています。
焼野矢八の父親がヒゲ親父なのも、この作品の楽しさの一つです。やっぱり、ヒゲ親父は手塚作品の名脇役の一人ですね。
by BigBrother
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