ぼくのオンリィ・イエスタディ その36
ある薬品会社のCM
1999.12.27
80年代の終わりに、いったん下がった株価は、NTT株の公開で再び上昇に転じました。それ以後の嘘のような好景気がいわゆるバブル経済でした。とにかく経済界の鼻息の荒いこと、「経済一流、政治は二流」なんて言われもしました。
「黄色と黒は勇気のしるし、24時間戦えますか〜」の流れるCMが放映されたのは、バブル絶頂の時でした。栄養ドリンクを手にした時任三郎さんが、猛烈サラリーマンをコミカルに演じていました。
このCMは大ヒットし、その後いくつかのバージョンがテレビ画面に登場しました。CMソングの方も「勇気のしるし」として発売されました。この際、時任三郎さんは彼とは別人の牛若丸三郎太という歌手ということになっていました。この「勇気のしるし」は時を移さずカラオケでも歌われるようになりました。
その後このCMは、時任三郎さんから2代目本木雅弘さん、そして現在の佐藤浩市さんへと交替しました。
本木さんの時が、バブルが弾けた時でした。彼が「みんなガンバレ、みんなガンバレ」と歌っていたのは、意気消沈する世相に対する応援という意味もあったのでしょうね。でも彼の演ずるサラリーマンは「東へ西へ」と闇雲に走り回るバイタリティーを残していました。
現在の佐藤浩市さんは疲れ切ったサラリーマンとして登場してきます。自分の子供を間違えたり、電車を乗り過ごしたりします。
今年この栄養ドリンクを発売した製薬会社の新製品の栄養錠剤のCMが大ヒットしました。正確にはこのCMの坂本龍一さんのピアノ演奏曲がヒットしたと言ったほうがいいかもしれません。この坂本龍一さんの曲はこの2、3年ほどキーワードになってきた「癒し」というコンセプトに基づくものだと聞きます。
今ちょっと思いついたのですが、ノーベル文学賞を受賞した大江健三郎氏の作品は最終的にはどうなって行くのかは分かりませんが、80年代のある時から、癒しということを扱っていたような気がします。見当はずれかもしれませんが。
ぼくはへそまがりで、被害妄想ぎみなので、「癒し」にはごまかしを感じます。80年代の負の遺産の解決(おおげさだね)が、「癒し」じゃあね、と思います。日本社会のこれまでの政治・社会を含めた一切の矛盾を根本的に解決せずに(またおおげさだね)、「文句があっても、我慢してろ」、「はい、じっとしてます」てなのが癒しなのではないかと。そうじゃないかもしれないけど。
むかつき、きれても、なにも解決しないように、癒されたと一時は感じようとも、何も解決しないでしょうね。そうかと言って、80年代のバブルのような熱狂に身を委ねたとしても、やっぱり同じでしょうね。
どう転んだところで何も解決されないとしたら、「癒し」も、(突然長岡弁になって)まあいいろっかねぇ。
by BigBrother
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