古谷実「ぼくといっしょ」全4巻 講談社 2000.3.27

古谷実「ぼくといっしょ 古谷実氏のおもしろさはなんでしょうか?ギャグは案外古かったりします(でも、おじさんの私にとっては、文句なく笑えるのですが)。そのギャグの特色も計算されたというよりは、滲みでてきたもの、本人の無理のない穏やかな呼吸のようなもののような気がします。ですが、ギャグの果たす役割は、もちろんまんがであるからには、重要なわけですけれど、古谷氏のまんがにとってはあくまでも、二の次のような気がします。
 「ぼくといっしょ」では(あるいは、でもといった方がいいのかもしれませんが)、人と人との絆とは?、家族とは?、愛とは?、孤独とは?、優しさとは?、夢とは?、喜びとは?、といったさまざまなことが描かれ、それらの総計として、「人生って何?」という問いにつながっているのだと思うのですが。
 おそらく、人生について語り合おうとすることほど、気恥ずかしく、それどころか噴飯ものだと現在思われているものはないのではないでしょうか。しかしながら、本当はだれもが心の奥ではひそかに人生の意味を問いたい、あるいは語り合いたいと、願っているような気がします。
 登場人物の進藤カズキや吉田あや子といったキャラクターはこうした問いをストレートに問い掛けます。それに対して、先坂すぐ夫とイトキンこと伊藤茂はかなりのクセ球ながらも、読者にどんどん放り投げてきます。
 人生とは何かを主題にする古谷氏のまんがは、氏独特のギャグセンスに包まれているため抵抗なく、しかも、年来我々が人生について語ったり、問いただしたりすることをそれとはなしに禁じられてきた飢餓感からでしょうか、ギャグまんがでありながら、不思議と心にしみいってきます。

by BigBrother  

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