ぼくのオンリィ・イエスタディ その39
昭和から平成へ 2000.5.7


平均律クラヴィーア 東芝EMI 昭和天皇が危篤状態に陥った年、今でも腹立たしく思い出されるのは自粛の風潮が世間に広まったことでした。公式行事の取り止めが相次ぎ(これはまあ理解できる)、一般商店街や地域の行事も見送られました。
 下世話なところでは、有名フォークシンガーの登場するCMが打ち切りになったりと。先進国のひとつで、民主主義国家であるはずの日本があたかも時代を一時退行させたかのような観さえ受けたものです。
 もちろんぼくは自粛じたいが悪いといっているわけではありません。それよりも、すべてのマスコミの自粛をすることが当然だという調子、自粛に対する批判をすることがまるで悪いことでもあるかのような傾向に、いやな感じを受けました。もっともそれはぼくだけだったのかもしれませんが。
 それと、異様だったのは、NHKの対応でした。そもそも、下血というわかりにくく、耳慣れない言葉を情報の正確な伝達が使命である報道機関が使用することもいかがなものかと思いました。この下血に関してはちょっとした噂が立ったのも、そうした言葉のわかりにくさが手を貸したような気がします。
 さらにNHKでは番組終了後も、緊急の場合に備えて、風景の静止画像とバロック音楽を延々と流していたことです。まるで、ソビエトの有力者の政権交代時のようじゃないかと複雑な思いがしたものです。
 でもこのバロック音楽はいつ聞いてもバッハだったのはどうしたことでしょう。それも私の聞き間違いでなければ、すべて同一の演奏家、ヘルムート・ヴァルハでした。平均律クラヴィーアがよく流れていました。もしかして、昭和天皇はバッハが好きで、演奏者はヴァルハが好みだったのかなと思ったものです。
 実は当時ぼくはふとしたことから、ヴァルハの演奏するバッハの「ゴールド・ベルグ変奏曲」が好きになり、他のヴァルハのバッハの演奏も熱心に聞いていました。そんなことから、NHKで流れていたのはヴァルハのものだという自信があるのですが。
 それとともかく、年明けそうその天皇逝去後の記帳にならんだ多くの人々に対してはぼくはまったく理解に苦しむほかありませんでしたね。

by BigBrother

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