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大学生の頃、年末にある食品製造会社で泊り込みのアルバイトをした時に聞いた話は不思議な話でした。 どうしてそのような話になったのか、今ではまったく思い出せませんが、とにかくその話をしてくれた人は、栃尾のある村の出身で、そこでの幽霊騒ぎのことを語ってくれました。その騒動は、一年前の冬に起こったというように聞いたのですが、それもちょっと記憶があいまいです。
その人によれば、去年の冬村に火災が起き、とある家が全焼してしまい、逃げ遅れたその家の老人が焼死しました。その後ほどなくその老人の幽霊が、火災のあった現場に出るようになって、見た人間も、一人や二人じゃないというのです。
どうにかしなくてはと考えた村人たちは、村と関係が深いある寺へと相談に行ったのだそうです。この寺は他の世間一般の寺同様の事も行うのですが、もう一方で代々占いのようなことも行ってきたのだそうです。
村人たちは、その寺の住職から、次のように告げられました。
「火事の後、瓦礫をいくつかの山にして片付けてあるが、その山のひとつに、死んだ老人の焼け落ちた指が紛れ込んでいる。それを見つけて供養しなさい」
村人たちが不思議に思ったのは、住職がいったことのないはずの現場をまるで、見てきたように話す断固とした口ぶりでした。実際、その話どおりに、焼けた指が見つかり、供養すると以後、幽霊は出なくなりました。
ところで、この話を語ってくれた人は、まだ幽霊騒動の真っ最中に、幽霊の出る件の場所を真夜中に知り合と二人で通り過ぎることになりました。最初はお互い平気なことを言い合いながらその場へとやってきたのですが、突然連れが叫んで走り出したそうです。連れのこの行動に、これ以上驚いたことはなく、まったく肝がつぶれるほど怖かったそうですが、後でわかったことによると、連れは着物の裾がちょうど木の枝に引っかかって、後ろから誰かが引っ張っている、もちろん幽霊だと思ったというのです。
ところで、この食品製造会社は、諸般の事情から今年で短かからぬ歴史を閉じたそうです。ぼくがここでアルバイトしてから、20年が過ぎています。その当時一緒に働いた人の何人かはすでに亡くなっていると聞きました。なんとも年月の変わるのは驚くほど確実ですね。
by BigBrother
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