=金峰神社の流鏑馬=
とにかくすごかった。何が?って、雨がである。3時頃からあたりだした雨は、次第に強 まって、5時頃には本降りである。流鏑馬が始まった頃はもう土砂降りで、途中ほんの一時弱まったのだけれど、また前にもまして雨脚は激しくなった。
7月15日、どんよりした蒸し暑さの中で、次第に空模様は怪しくなっていった。蔵王の金峰神社は昨日から祭りだった。今日は稚児舞いの奉納に、流鏑馬があるのだった。
流鏑馬の予定は5時からになっていた。3時半頃には、雨はいい降りになりだし、鬱蒼と したケヤキ並木の繁みは、雨を蓄え、いっそう重々しい雰囲気を漂わせて立っている。参道には露店が並んでいる。今一つ盛り上がらない。それでも型抜きには熱心な子供の姿がある。
流鏑馬の馬はすでに境内脇に三頭並んでいる。聞いた話だと、今まで走ってきた1頭は、 今年になって死んでしまったとのこと。三頭のうち、向かって左側の1頭は落ち着きがなく、しきりに前足で地面を掻いている。もしかしたら、この馬は今年の流鏑馬で初めて走るのかもしれない。
集まってくる人々は神社の軒下を見物の場と定め、あわせて雨宿りをしている。神社の中では稚児舞いが奉納されていた。
神主が現われた。馬のしたくも進んでいる。暴れた馬を落ちつかせる背丈ほどの棒を持った男たちが続々と現われる。馬の乗り手や神事に参加する人たちが、それぞれの装束に身を固めて登場する。
予定より30分ほど遅れての開始である。神社の周りを3度回る。三頭のうち1頭は、神馬として扱われているのだろうか、それとも人を乗せるにはやや小さいのか、手綱を引かれ るだけである。残りの2頭のうち、一つには神主自らが乗馬する。
さていよいよ、流鏑馬である。神主から、控えていた乗り手に変わる。この馬は落ちつかない様子を見せていた例の馬であった。やや騒いだだけなのだろうが、馬の巨体が躍動するさまを身近で見ると迫力がある。見物人のほうへちょっと踏み出しただけでも、ざわめきが上がる。関係者が落ちつかせようとする。
流鏑馬は神社の前で、立ち止まっている馬上から的に弓矢を射るというもの。それでも、馬が暴れるため、なかなか射るのも難しそうだ。無事すむと鳥居に向かって、馬を走らせるのだが、 この疾駆して行くのはさすがに圧巻であった。鳥居のほうでも、何やら行われていたようだが、それが済むと再び、神社のほうへ雨をものともせず馬が駆けていく。走る馬の姿というものは、ため息さえでるほど美しいものであった。サラブレッドのことを走る芸術作品をというそうだが、それは誇張でもなんでもないと思う。
土砂降りの中を人々はそれぞれの家へと帰り始めた。
by BigBrother
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