江戸川乱歩「陰獣」角川文庫 2000.10.31

「陰獣」   江戸川乱歩の傑作である「陰獣」についてはいまさらながら、多言を要するまでもないのですが、とにかく最も乱歩らしい作風がじっとりと滲み出ている作品なのです。
 濃厚なエロティシズムと華麗な退廃の美とが具体的でありながら、象徴的と思えるほどに描かれています。それは乱歩の小説世界を支配する神々のごとき作者の酷薄さが、小説の次元を昇華させるためでしょうか。
 この作品の要素の一つには、作者による自作や自身の生活や噂についてのパロディーがなされていて、メタ小説みたいな雰囲気があり、乱歩中毒者をにやりとさせてくれます。
 それにしても「陰獣」って、内容もいいですけど、この題が素敵なんですよね。

by BigBrother  

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