なんども酒の肴考
なんどもまた酒の肴考 2000.2.7

=さしつさされつ=

絵  日本酒といったら、杯のやり取りがつきものだったわけだけれど、この習慣は場合によってはわずらわしさを超えて、目を覆いたくなる厭味を放つ。男同士の酌、返杯の強要はもちろんだけど、男性の女性に対するそれは見苦しいばかりだ。もちろん、かの習慣そのものには罪はないのだけれど。
 へだてのない仲間うちでは、勝って気ままな手酌ってことになる。でも、一気飲みってやつも新手のお酌の強要だから、止めましょう。急性アルコール中毒にもなりやすいしね。
 それはともかく、オールシーズンジョッキで生ビールだわ、女性に人気のワインブームは定着するわだから、日本酒の人気は低下するばかりだ。
 つまるところ、かの美風はもはや死に体のありさという次第。だからこそ郷愁をそそられるのもまた事実。燗がつけられているちんちん音を立てる鉄瓶、料理人の腕の冴えを見せる肴、わびさびの極地のような器。季節は冬、由緒ある日本料亭の一室。なんとも古めかしい構図だが、それだからこそすでに縁遠いことを如実に示す。
 この慎ましやかなエデンの楽園を完全にするには一組の男女の方が望ましいだろ。女優の高島礼子さんの名前を世に知らしめたのは、日本酒のCMからだった。恐らく、男性諸氏の多くがさしつさされつの相手として、彼女を選んだのだろう。
 いずれにしても、それは古き日本のおとぎ話。それだからこそ夢に見たい夢なのだけれど。

by BigBrother  

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