江戸川乱歩「黒蜥蜴」角川書店 2001.4.28

「黒蜥蜴」  江戸川乱歩の創造した多くの犯罪者の中で、もっとも異彩を放っているのがここに登場する黒蜥蜴と呼ばれる女性犯罪者です。
 江戸川乱歩の多くの犯人がその犯行に美を見いだすのと同様に、このアンチヒロインも自らの猟奇的な犯罪を特異な美の追求と捉えています。
 内容はグロテスクなのですが、その割に読者におぞましさを感じさせないのは、ほかの作品に比しても、飛びぬけているようにおもいます。純真な子供の持つ残酷さがこのヒロインの性格としてうまく造形されているからだと思います。
 さて、黒蜥蜴の由来は冒頭で次のように描かれています。

     美しい女の左の腕に、一匹の真っ黒に見えるトカゲが這っていた。それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頚、頚から顎、そして彼女の真っ赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。真にせまった一匹のトカゲの入墨であった。


by BigBrother  

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