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ラーメンの試食会が行われる市内某所、12時をまわったばかりのころ。
(窓から覗き込で)お、いるね。厨房にN氏と相棒のYさん。カウンターに二人。一人はHさんだ。
「どうも、ラーメン食いにきましたよ。スープうまくとれました?」
「いやあ、今批判を頂いていたところ」とN氏。表情がやや冴えない。
「どんなんですか」とHさんに聞く。
「なんか今ひとつ足らんがでないかって気がするなあ」Hさんは、味を濃くしたり、薄めたり、あぶらを入れたり、醤油ダレを変えたりといろいろのバリエーションのスープをずっとがぶ飲みして、ラーメンの方はまだ食っていないという。
「なんにしましょう」
「一番の自信作で」
カウンターでラーメンをすすっている人は知り合いの酒屋さんだという。ラーメンの感想はというと、微妙な言い回しだったけれど、とにかく塩辛かったようだ。
だされたラーメンをすする。スープは濁っている。澄んだスープを目標にするN氏だから、これにはいささかがっくりくることだろう。
酒屋さんのラーメンより薄めに作ったとのことで、なかなかうまい。でも、私にはもうちょい濃くてもいいと思う。チャーシューはうまい。
さて、試食会に訪れた人々のラーメンの感想は以下のとおり。
スープについてやや味が薄いというものが多かった。時間を置いてもう一杯食すと、たしかに味が薄くなっていた。
コクがないと意見もあった。
メンマはそのまま食べるにはいいが、ラーメンの具としては味が薄いという意見があった。
煮卵は漬け汁の酒のアルコール分が抜けていないという指摘が一件あった。
チャーシューはうまいと全員が一致。
話題がスープに集中するのは自然であった。
コクがないという意見は理解できますね。それはN氏のスープがだめということではない。これは長岡の濃い醤油味と味の素のラーメンに慣れた舌からすれば、物足らなく感じる人がいるのは当然だから。さらに、N氏は薄口醤油を使ってるから塩は結構入っているのだと言う。
「ほんとうは、この麺より細いのを使いたいんだよね」
新潟市の某製麺所の麺が理想的だという。これは細いのにコシがあり、おまけに伸びにくい。こうした細麺でなければN氏のスープがいくらうまくできても、真の完成は望めないという見通しなのだ。だが、この製麺所は下越だけに取引をかぎっているのだそうだ。今のところ他の製麺所ではこれに代わるものは見つからないという。
開店予定の10月20日も間近だ。超えなければならないハードルはまだ残されている。次回の試食会は10月7日に予定されている。さて、それまでにいくつのハードルを超えることができるだろうか。もっとも、全部の障害物を蹴倒してゴールするという手もあるなあ。
つづく
by BigBrother
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