エドマンド・ウィルソン「アクセルの城」筑摩学芸文庫
2002.2.10
副題は「1870年から1930年にいたる文学の研究」。冒頭の「1象徴主義。現代の文学に見られるある種の傾向の淵源をたずね、その展開を六人の現代の作家の作品によって示そうというのが本書の目的である」というくだりを読むと、なにやら堅苦しい内容を連想してしまうのですが、これが案に反して面白いのです。
文芸批評です。
取り上げられている作家は名前は聞いたことはあるのですが、不勉強でさほど知らないし、ガートルード・スタインに至ってははじめて聞いた名前でしたが、それにもかかわらず楽しめるのは、第一にこの文芸批評が明快でわかりやすいということ。次にこれが気の利いたこき下ろしなんですね。それぞれの作家の信奉者たちが聞いたならおそらく頭から湯気を立てて怒り出すと思います。
作家たちの偉大な文学的な成果をたぶん正当に評価しているのでしょうが、これが逆に誉め殺しになっている印象を与えます。アイドルの実態を暴いてみせるといったらいいでしょうか。高慢ちきな作家の鼻をへし折って見せてくれるところがおもしろいんですね。
解説を読むまで、このウィルソンが「死海写本」の著者でもあることに気づきませんでした。「死海写本」は読んでいたので、その同一人物だと聞いて、なるほどと思いました。なんでかって?それは「死海写本」をお読みくだされば一目瞭然です。
でも、決して下品ではない優れた文芸批評であるのは間違いないと思います。
by BigBrother
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