西岸良平「魔術師」双葉社 2002.2.10

「魔術師」  西岸良平さんは現在も連載中のノスタルジー溢れる「夕焼の詩」が大好評となっています。こうしたほのぼのとしたまんがのある一方、SFテイストの濃いものも少なくありません。中でもこの「魔術師」に収録されている『幻影の街』はかなりシリアスだと思います。
 『幻影の街』は高度成長期のますます画一化してゆく日本社会に対する風刺です、と言い切ってしまえばみもふたもなくなってしまいますが、しかし、この作品の呼び起こすグロテスクな味わいは単なるおもしろい話という次元を超えて、心の奥底に眠る恐怖心を揺り動かすほどにまでなっています。  ほのぼのした絵がかえって恐ろしさを引き立てます。むしろ本当の恐怖は何気ない日常にこっそりと潜んでいるのでは、という思いにさせます。いずれにせよいつしか鳥肌の立ってくるのを覚えずにはいられません。もちろん太鼓判の名作です。

by BigBrother  

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