戸川猪佐武「小説吉田学校」全7巻 角川書店
2002.9.5
政治にはさほど関心がないのですが、政治をぐっと身近に感じさせてくれる一冊です。
個性ある政治家たちが、著者の筆によってさらに魅力的に描かれています。でもあまりに良く描かれて過ぎているのではないかなとも思ってしまいますが。
まず、戦後政治を吉田学校という視点から日本の政治を眺めたり、また政治家の資質を政党人的あるいは官僚的な観点から明瞭に区分したりと、日本の政治を分かりやすく描いています。
中でも、印象に残ったのは、いわゆる「三木おろし」の経緯です。ロッキード事件の頃、私はまだ高校生になったばかりでした。当時ロッキード事件で政治改革を掲げて総理となった三木武夫が田中軍団の前に屈服してしまったという印象だけがあったのですが、三木武夫がなかなかどうして、相当したたかな政治家だったのだということをこの著書で知りました。
著者の筆が冴えるのは、強烈な権力志向に溢れる政治家の姿を活写するときです。それぞれの政治家たちが総理大臣に対する執着する姿には、驚くものがありました。おそらく現実はこの小説よりも何倍もすさまじいものなのでしょう。
とにかく、著者の達者の筆力のせいで、それぞれの政治家が実物よりも綺麗に描かれたのではと思われてなりません。
この文庫の表紙の似顔絵はけっこう楽しめますね。
by BigBrother
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