酒に関連した事柄といえば、まず思い浮かぶのが、万葉集の代表的歌人である大伴旅人の「酒を讃むる歌13首」があります。
験無きものを念はずは一杯の濁れる酒を飲むべくあるらし(338)
酒の名を聖とおほせしいにしへの大き聖の言のよろしき(339)(古代魏の時代に酒が禁じられていたので、隠語で酒を聖人と言った)
古の七の賢しき人どもも欲りせしものは酒にしあるらし(340)
賢しみと物といふよりは酒のみて酔ひ泣きするしまさりたるらし(341)
いはむ術せむすべ知らず極まりて貴きものは酒にしあるらし(342)
なかなかに人とあらずは酒壷になりにてしかも酒に染嘗(しみなむ)(343)
あな醜賢(みにくさか)しらをすと酒飲まぬ人をよく見れば猿にかも似る(344)
価無き宝といふとも一杯の濁れる酒にあにまさめやも(345)
夜光る玉といふとも酒飲みて情をやるにあにしかめやも(346)
世間(よのなか)の遊びの道にたのしきは酔ひ泣きするにあるべかるらし(347)
この世にし楽しくあらば来む世には虫に鳥には吾はなりなむ(348)
生ける者遂にも死ぬるものにあれば今あるほどは楽しくをあらな(349)
黙然(もだ)居りて賢しらするは酒飲みて酔ひ泣きするになほしかずけり(350)
新しいところでは若山牧水の歌も有名です。
白たまの歯にしみとおる秋の夜の酒は静かに飲むべかりける
吉井勇の「酒ほがひ」のなかの数首
かの君の涙の酒に酔ひけるよ人は知らじな酒のかなしみ
かかる世に酔はずて何よけむあはれ空しき恒河沙びとよ
酒に酔ひ忘れ得るほどあはれにも小さくはかなきわれの愁いか
こうした歌のどれかを口ずさみながら、酒を飲むのも一興ですね。
酒にまつわる小説は、坂口安吾の「木枯しの酒倉から」、レイ・ブラッドベリの「たんぽぽのお酒」(「万華鏡」に収録)がありますね。どちらも分かりにくいといえば分かりにくい小説ですが、レイ・ブラッドベリのほうはずっとリリシズムにあふれていますし、象徴的ですね。もちろんどちらの作品とも優劣つけられない名作です。
酒のことを扱ったまんが、しかも新潟と関連深いといえば、尾瀬あきら「夏子の酒」があります。TV化された際に、長岡の地でもロケがなされました。見た事があったり、行ったことのある場所が画面に映し出され不思議な気分がしました。
まんがに描かれた酒の場面で記憶に残っているものがいくつかあります。まず江口寿史「ストップひばりくん」で主人公が「美少年」という清酒の一升瓶をらっぱ呑みするシーンです。
この「美少年」という名柄は実在するそうで、ぜひ一度呑みたいですね。ますむらひろしの「アタゴオル物語」では頻繁に酒のシーンがでてきます。オクワ酒屋はなかなか良い雰囲気の飲み屋ですね。アタゴオルで愛飲されている酒は猫正宗です。
忘れてならないのは古谷三敏「レモンハート」です。ショットバーを舞台にそのマスターと常連客を中心にしたまんがです。ショットバーの話ですからカクテルが登場することが多いのです。カクテルのことをもっと知りたいと感じた人々も多かったことでしょう。そんな人にうってつけなのが花崎一夫「カクテル・ハンドブック」です。すばらしいグラスに注がれた美しいカクテルが楽しめます。
それではハンドブックのレシッピでギムレットを作りましょうか
今夜のBGM2曲

酒とバラの日々、ストレイト・ノー・チェイサー
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