「しつこくまたまたまたまた酒の肴考」
1997.6.21
真の酒飲みは、好い酒が飲めれば、珍味なるものを求めないと言われます。酒の肴を云々するするのは、酒の味の分からない手合いだというわけです。ただ一つ許される肴があるとしたら、香り立つ杉の一合桝とへリに盛られた一つまみの粗塩なのです。
これの当否は、問うてもさほど意味あるようには思えません。ただし健康の観点からすれば適度な肴をとるのべきだと指摘されていますが・・・。どちらにせよ私は酒に対してこれほどまでに求道的になれません。それどころか酒の肴をあれこれとみつくろうほうです。かといって、懐具合を気にせずににはいられない貧乏性の性格ですから、カラスミや河豚やトロなどの高額な肴で一杯というのも、まったく柄ではありません。
落語の「酢豆腐」は、金のない酒好きの連中が何とか酒は工面したのだが、肴をどうするかで始まります。ひとりが提案するのが爪楊子です。その理由を問われると、次のように答えます。
うん、あれをめいめいに一本ずつ口にくわえて、一ぱいやるんだ。よそからみりゃあ、なんかうめえもんを食ってるようで体裁はいいし、しかも、腹へたまんねえで、衛生にいいや。
これはもちろん却下されてしまいます。次に言いだされるのが「かくやの香の物」です。
いいか、台所へいくと、糠みそがあるだろう?そいつに手をつっこんでかきまわすと、古漬けてえやつがでてくらあ。こいつをこまかくきざんで、すぐじゃあ、くさくっていけねえや、いったん水へ泳がしてといて、しょうがをまぜたやつを、かたくしぼって、醤油をかけて、かくやの香の物なんてのはどうでえ?
これにはみんながモロ手を挙げて賛成するのですが、それでは誰が糠みそに手を突っ込むかでもめて、ご破算になってしまいます。ところで、この肴は日本酒に合いそうです。実際に試してみたくなる一品です。
最後に登場する「酢豆腐」はもちろん酒の肴ではありません。知ったかぶりで講釈をする酒飲みには苦い肴ではありますが・・・。
「酢豆腐」の引用は興津要編「古典落語 上」講談社文庫です
by BigBrother
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