「しつこくまたまたまたまたまた酒の肴考」 1997.6.25

 ビッグコミックスピリッツの「おいしんぼ」はいまだに連載中だそうですが今はどのような展開になったのでしょうか?テレビでアニメ化されたほうはとっくに終わってしまいましたが、どのような最終回だったのでしょうか?テレビでは山岡側の「究極のメニュー」と海原側の「至高のメニュー」対決の決着を見たのでしょうか?
 この海原雄山のモデルとされるのが、北大路魯山人です。この名前はまんがの中でも何回か言及されたこともあります。食のことはもとより有名ですが、陶器などの焼きもの、さらには書画にも打ち込んだ希代の人物です。この弟子にあたる人物が「料理の鉄人」の料理判定者の一人としブラウン管に登場していたのを見て「へえー」と思いました。
 ところで珍味というと決まって思いだすのが、この魯山人書いた「山椒魚」という随筆です。まず魯山人先生は「いわゆる悪食の中には、そう美味いものはない」と喝破します。続けて「変わった食べ物の中で美味いものは?」と自問し、これに山椒魚と答えます。山椒魚がなぜ珍味なのかを、天然記念物のため口にする機会の稀な珍品であることを言います。御本人は関東大震災から随筆の書かれた昭和34年までに3回口にしたと書かれています。この希少さに加えて、山椒魚がうまいことを挙げます。
御本人の文章を次に引用しましょう。

         腹を裂いたとたんに、山椒の匂いがプーンとした。腹の内部は、思いがけなくきれいなものであった。肉も非常に美しい。さすが深山の清水に育ったものだという気がした。そればかりでなく、腹を裂き、肉を裂き、肉を切るに従って芬々たる山椒の芳香が、厨房からまたたく間に家中にひろがり、家全体が山椒の芳香につつまれてしまった。おそらく山椒魚の名はこんなところからつけられたのだおろう。  それから、皮、肉をブツ切りにして、すっぽんを煮るときのように煮てみたが、なかなかどうして簡単に煮えない。〜略〜2、3時間煮たが、なお固い。
         ともかく、長いこと煮て、ようやく歯が立つようになったので、ひと口食ってみたら、味はすっぽんを品よくした味で非常に美味であった。汁もまた美味かった。〜略〜
         きのうの味を忘れかね、次の日また食ってみたら、一層美味いのにはびっくりした。長いこと煮てなお固かったものが、ひとたび冷めてみると、ふしぎなことに非常にやわらかくなる。皮などトロトロになっている。そして、汁も翌日のほうがはるかに美味い
     「山椒魚」は中公文庫「魯山人味道」の中の一編です。
by BigBrother

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