「5枚のトランジション作品」
1997.10.13
ジャズファンの中には趣味が高じ、ついにはレコード会社を設立してしまった人物が何人かいます。そのなかで最も有名なのが、ブルーノートの設立者、アルフレッド・ライオンです。彼にはフランシス・ウルフという相棒がいるのですが、あまりにも出来過ぎの名前ですね。そのブルーノートも経営には苦労をしたようです。ジャズでは大手のブルーノートでさえこの調子ですから、あとは推して知るべしです。
トム・ウイルソンのトランジションというレーベルも同様な設立経過をたどります。15枚ほどの優れた作品を送りだしましたが、経済的な逼迫により、その活動を中止することになります。設立者は後に名プロデューサーとして活躍したということです。
現在このレーベルのオリジナル盤は、児山紀芳氏によれば、「トランジションの活動期間がわずかに3年足らずという短命だったこと、この期間に発売したアルバムがわずかに15作品ほどときわめて数が少ないこともあって、オリジナル盤はその後、幻と化し、世界のコレクターの垂涎の的となった」ということです。
2年半ほど前にこの幻の名盤のうちの5タイトルがCDで発売されました。どの作品も名盤の看板に偽りありません。私自身はこのうち「WATOKINS AT LARGE」と「BYRD BLOWS ON BEACON HILL」とを特に気に入りました。
全曲素晴らしいのですが、「WATOKINS AT LARGE」は特に1曲目と最後の曲に惹かれます。テナー・サックスのHANK MOBLEYが若々しく演奏しています。DUKE JORDANのピアノは文句ないし、その他のジャズメンによって演奏に厚みがでています。
「BYRD BLOWS ON BEACON HILL」は1曲目がいいですね。全曲通じて、RAY SANTISIの瀟脱なピアノが魅力となっています。 どちらにもベースのDOUG WATKINSとトランペットのDONALD BYRDが参加しています。 ベースはホーンライクという言葉が思い浮かぶほどよく響きます。トランペットは生きの良さと若者特有の繊細さが調和していて好ましい演奏を繰り広げます。
この2枚は5枚の中で特に私の推奨盤です。

「WATKINS AT LARGE」
- RETURN TO PARADISE
- PHINUPI
- PHIL T.McNASTY'S BLUES
- MORE OF THE SAME
- PANONICA

「BYRD BLOWS ON BEACON HILL」
- LITTLE ROCK GETAWAY
- POLKA DOTS AND MOONBEAMS
- PEOPLE WILL SAY WE'RE IN LOVE
- IF I LOVE AGAIN
- WHAT'S NEW
- STELLA BY STARLIGHT

「JAZZ IN TRANSITION」
- SWING A LITTLE TASTE
- CRAZY RHYTHM
- BACKSTREET
- TINY'S BLUES
- TRAIN'S STRAIN
- SWEET & LOVELY
- SOMETHING'S GOTTA GIVE

「JAZZ ADVANCE」
- BEMSHA SWING
- CHARGE 'EM BLUES
- AZURE
- SONG
- YOU'D BE SO NICE TO COME HOME TO
- RICKICKSHAW

「BYRD'S EYE VIEW」
- DOUG'S BLUES
- EL SINO
- EVERYTHING HAPPENS TO ME
- HANK'S TUNE
- HANK'S OTHER TUNE
|
by BigBrother
[TopPage]
[New]
[BB's Room]
[Jazz]
|