「やっぱりまた酒の肴考」
1997.11.9
佐渡真野湾の蛎の水揚げのニュースを目にしました。蛎は海のミルクの別名を持っています。こうした別名は誰が付けるのでしょうか?それほど栄養価が高いということでしょう。ですが、生がき、土手鍋、かきフライ、かき酢とさほど酒の肴としてはそのレパートリは広いとは言えないようです。もちろんその調理がうまければ文句はないのですが。
見附の海老名で味わった生がきは忘れ難いものでした。これはその日のうちに笹川流から運ばれてきたという、生きがよすぎて馴れない素人にはつかめないという代物でした。この大ぶりなかきの口をその場で開けてもらい、レモンをしぼり、さらに醤油をほんの心持ち垂らしました。啜るようにして口に放り込むや磯の香りがたちこめました。冬の海のようなすがすがしさでした。噛みしめるとかきの甘みが舌に広がりました。そのうまさは酒のベターハーフに徹すべき立場を軽々と越え、酒という主役を完全に喰ってしまいました。酒が完敗したわけです。それ以来この思い出が生がきについての基準になっています。
土手鍋の名は土鍋の内側に味噌の土手を造ることに由来します。広島では一般的な土手鍋はこちらではさほど行なわれていないようです。いずれにせよ、かきは煮すぎると哀れなほど小さくなってしまいますから、他の鍋ものに比べると食べ頃に格段の注意を払わなければなりません。私には煩わしい限りですが。
私はどちらかといえば、かきフライやかき酢の方が好きです。私はかきフライという料理で初めてかきを口にしました。かきフライにはビールですね。これを食するにはレモンと醤油、できたら大根おろしを添えるというのが一番だと思っています。
かき酢は日本酒ということになります。かき酢は他の調理法ではなかなか味わえない弾力ある食感が堪能できます。紅葉おろしと小口切りにしたわけぎの薬味で食します。これは私の5本の指の一つに入る酒の肴です。
酔いが思いの外まわりました。二日酔いの予感がします。おや?落ちが分かってしったようですね。そうです、悪酔いを抑える柿をデザートにすると洒落るつもりでした。安易すぎる駄洒落ですね。
柿喰えば鐘が鳴るなり法隆寺 正岡子規
by BigBrother
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