「やっぱりまたまた酒の肴考」
1997.11.11
新潟県で鮭の遡上する川としては三面川が一番有名だと思いますが、この川の流れる村上で鮭尽くしを味わいました。今から7年ほど前のことになります。品のある料亭におそるおそるあがりました。さまざまな料理の名前や調理法を仲居さんに尋ねました。そうするなかで「鮭そのものはこれといった癖のない魚ですので、和風洋風、いろいろな料理があるんですよ」というコメントになるほどと思いました。もちろん村上の地酒のことを聞いたのはいうまでもありません。今では誰もが知っているメ張鶴はその頃、知る人ぞ知る銘酒でした。メ張鶴をはじめとした地酒をひやで呑み比べました。酒と共に旅の情緒に浸りきりました。
酒を呑みだすと、血合いの塩辛に手がのびるようになりました。これには薄く輪切りにした大根が添えられていました。しゃきしゃきしたみずみずしい歯ざわり、甘みに次いで感じられる爽やかな辛み。この時以来塩辛には大根を添えるのが通例になりました。
さらに私を惹きつけた一品がありした。氷頭なますです。「ひず」という語感は珍味中の珍味という印象を与えてくれます。これは鮭の軟骨を使います。この軟骨は文字通り鮭の頭部にあります。鮭の頭を包丁で真っ二つに割り、とりだすのだそうですが、私はやったことがありません。この氷頭を場合によっては塩抜きして、酢につけた後、なますに利用します。軟骨ですから、もとより歯ざわりを楽しむものですが、これで不思議なほど酒が進みます。もっとも氷頭だけを味わうのではなく、これとイクラと大根おろしとを、ほどよく和えたものを賞味するのです。
氷頭なますで思いだすことがあります。今から3年ほど前に、大学院に通っていた頃のことですが、村上の出身の女子学生とたまたま氷頭なますに話が及んで、「家でもつくりますよ、今度もってきますよ」と言ってくれました。たぶん外交辞令だと思ったのですが、ひそかに大いに期待していました。この女子学生がそう言ってくれたことで満足至極でした。なにぶんかわいかったからです。残念ながら、彼女の自家製の氷頭なますにはお目にかかることはできませんでした。ですが、彼女の今でも熱烈なファンです。今でも忘れないなんて私も相当に粘液質タイプですね。
by BigBrother
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