「チャーリー・パーカーのこと」
1997.11.25
モダン・ジャズの黎明期の天才たち、いわゆるジャズ・ジャイアンツの一人にチャーリー・パーカーがいます。彼はモダン・ジャズを決定づけた真のイノベイターとして、最重要視されています。はっきりいって私にはてんで分かりませんが。1920年に生まれ、1955年に短い生涯を終えた彼は、かっこよくいえばジャズ・シーンを稲妻のように駆け抜けたわけです。私は未見ですが、何年か前に彼をモデルにした映画「バード」がクリント・イーストウッドのプロデュースによって公開されたので、その破天荒な生涯をご存知の方もあるかも知れません。この伝説化した人物は当然のことながら数々のエピソードで彩られています。植草甚一の「知らない本や本屋を捜したり読んだり」の中の「アイ・リメンバー・バード」を読んで、「なんと付き合いがたい男だな」という感想をもってしまいました。ちなみにバードは彼の愛称です。これに因んだバード・ランドというジャズクラブが1950年に開店しました。1965年に閉店することになるこの店が奇しくもチャーリー・パーカー最後の落魄たるステージとなってしまいます。名曲「バード・ランドの子守歌」はこの店名を表題にジョージ・シアリングが作曲しました。
チャーリ・パーカーの絶頂期は47年から48年にかけてだといわれます。この頃の録音はダイアルというレーベルに残されています。しかし、当時の録音技術の未発達などの制約を考えれば、チャーリー・パーカーのすべてをあますところなく伝えているとは思えません。しかし、なかなか味のあるのが、「チャーリー・パーカー・ストーリー,VOL.1,2」です。ダイアルに残されていた録音を大和明氏が監修したものです。チャーリー・パーカーの演奏を知るには最適です。音質に難点がありますが、それでも捨て難いのは、やはり若いジャズ・ジャイアンツたちが生まれたてのモダンジャズを意気軒昂として演奏しているからでしょうか。マイルス・ディビスのトランペットがナイーブなのがいいですし、デューク・ジョーダンのピアノだってすばらしいです。
文句なく、音質がいいのは「ナウズ・ザ・タイム」(1952、1953)です。晩年の名盤といわれる作品です。といっても彼の30代前半ですが。こうした思いがあるせいでしょうか、音質の良さはかえってチャーリー・パーカーの寂寥感を響かせているような気がするのですが。
チャーリー・パーカーにとって34歳の生涯が短かったか、長かったか私には分かりません。私は彼よりすでに2年長く生きています。もとより平凡な私のこれまでの年月を単純に比較するなんて愚の骨頂ですが。もし彼が存命であれば本年で77歳です。そうであればモダンジャズについて彼の口からどのようなことが聞けたでしょうか?合掌。
文中の「バードランド」の事項については新潮文庫「ジャズ・スタンダード100」を参考にしました。
by BigBrother
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