三遊亭円丈「御乱心」主婦の友社
1997.12.11
久しぶりに三遊亭円丈が落語を演じる姿をNHKの番組で見ました。新作落語で売った彼らしく、日本初のアクション落語という珍にして妙な事を試みていました。
新作落語でもやっぱりマクラがあります。そこで「三遊亭円楽とは水と油だ」と冗談めかして、笑いをとっていましたが、落語協会の分裂騒動を記憶している者には、かえって生々しさを覚えたのではないでしょうか。少なくとも私はそうでした。
三遊亭円生一門が落語協会から脱退した事件は、ワイドショーの取り上げる格好の話題となりました。昭和53年のことでした。この約1年半後円生は突然他界して、関係者にさまざまな心理的しこりを残しながら、騒動は表面上は終息して行きます。三遊亭円丈はこの経緯を8年後「御乱心」に綴りました。これはその内幕を明らかにした暴露ものの範疇に入るかと思いますが、これが思いのほかの拾い物(失礼!)なのです。これほどアケスケに書いてしまって果たして大丈夫なのかと危ぶんでしまうほどなのですが、まったくその面白さといったらないのです。
その面白さは落語界の有名人が実名で登場するという、覗き趣味に訴えてくる点にもあります。しかし、それ以上に極限的な状況での人間の行動・態度がいかなるものとなるのかが、分かりやすい直截的な文体で書かれているからだと思われます。
残念ながら、この「御乱心」は現在品切れです。私は古本屋で安く購入できました。おそらく、古本屋をこまめにまわれば、適正価格で入手できるはずです。機会があればぜひ一読をお薦め致します。
by BigBrother
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