古賀新一の恐怖まんが=少女恐怖まんがのチープにして魅力的な不条理世界
1997.12.23
新潟BSNテレビで土曜の深夜に放映している「エコエコアラザク」は、この手の時間帯にしてはかなりしっかりしたつくりです。主演の佐伯日菜子さんはある種の雰囲気を漂わせているなかなかの逸材です。役作りがうまいという印象を受けました。本格的な大物女優になるかもしれませんね。
この原作は漫画家古賀新一氏の手になるものです。1975年に連載を開始した原作は、いったん中断の後、現在連載中ということです。黒魔術の詳細と雰囲気を丹念に描いたまんがの嚆矢として記憶されるべき作品だと思います。私は古賀新一氏の経歴についてくわしいことは何も知らないのですが、おそらく怪奇もので長いまんが生活を送られてきているのだと思います。
最近古本屋で古賀新一氏の作品をまとめて購入しました。全部で11冊です。この中で一番古い作品と思われるのが、「死にもの狂い@」と「死人の家」です。特に前者の作品につけられた「この作品は著者の新吾シリーズという探偵ものの中から怪奇的なものだけを抜出し、怪奇探偵シリーズとしたものです。恐怖ものを描かせたら抜群のさえをみせる著者の下地を作ったともいえる作品です」という短いコメントから、アクションものを描いていた時期もあるように推測されます。両者に共通の作風も現在のものとは、といっても1975年の「エコエコアラザク」の時点においてすでに確立していたわけですが、かなり異なっています。ちなみに「白衣のドラキュラ」の絵は初期の頃の楳図かずお氏の恐怖まんがに似ています。
作品はすべて安易なほどに怪事件や呪いが降りかかってきます。それはおそらく諸般の事情から仕方がないことなのでしょうが、やはりB級作品という印象を抱いてしまいます。もっとも、それはこの手の恐怖まんが一般に共通することなのですが。ただ古賀新一氏の作品が単なるB級に止まらないのは、恐怖感をかきたてるツボを押さえた作画にあります。小学生の年頃はかなり怖い思いをすることでしょう。
加えて、ストーリーも紆余曲折の展開をみせ、あの手この手で怖がらせようとする作者のサービス精神が伺えます。ディテールもひねったグロテスクさに溢れています。例えば「女とかげ」では乳房がはって痛む際にとかげに吸わせる風習を設定していたりします。しかし一方で、次々に繰り出される小道具の多彩さに目移りがすることも確かです。それが実感されるのは「ばけもの屋敷」です。その突拍子もない展開の強引さにはちょっとだけ唖然としてしまいます。時には作者の予想を越えてしまって、読者にシュール・リアリズムの印象さえ与えてしまうというオマケさえあり、はまってしまうと癖になってしまいそうです。しかし、全体としては作者によるこうした計算はその計算通りに成功しているように思われます。こうしたすべてによって、古賀新一氏の作品が魅力的な超B級作品になっているのです。
現在これらの作品を怖いとは思いませんが、小学生の頃に抱いた恐怖の印象を懐かしく思い返します。甥がどのような反応を示すか興味があります。
「死にもの狂い@」「生血を吸う幼女A」「私の肌に呪いの顔がB」「死人の家」
「白衣のドラキュラ」「ばけもの屋敷」「猿少女」「女とかげ」(以上ひばり書房)

「恐怖!血の館」「首のない女」(以上立風書房)

「チチとまた呼ぶのろいの顔」(廣済堂)
by BigBrother
[TopPage]
[New]
[BigBrother's Room]
[Book]
|