岸大武郎「恐竜大紀行」集英社 1997.12.28

 ギネッスブックに載るほどの途方もない発行部数を誇った週刊少年ジャンプ成功の要因の一つはもちろん人気漫画家にめぐまれたことが大きいわけですが、徹底した読者による作品アンケート方式にあったと言われています。添えられたアンケートはがきで作品の反響をリサーチし、評判が芳しくなければ、大家であろうが早々に打ち切りとするシステムです。このシステムによって新しい漫画家と新しいマンガが次から次へと登場し、そのなかで、「ドクター・スランプ」や「北斗の拳」などの超人気作品が登場してきました。読者の圧倒的な支持による化けものマンガ雑誌となったわけです。
 その一方で、佳作でありながらも、ややマイナーなためこのジャンプのシステムとは合わず、短期連載に終わったものもあります。岸大武郎「恐竜大紀行」もそうした作品の一つです。これは1980年代末の週刊ジャンプの内容がますます画一化する中で、異彩を放っていました。
 中世代の弱肉強食の世界を丹念に描いています。科学的知識にも充分基づいているように思われます。マンガ作品として読者を満足させるために、中世代恐竜たちに感情移入しつつ擬人化を行ない、ストーリーを展開していますが、けっして不自然さを感じさせません。優れたエンターテイメントとなっています。
 この作者には南方熊楠の生涯を扱った作品もありますが、こちらも好作品です。

by BigBrother

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