「それでもまたまたまたまた酒の肴考」
1998.1.13
昼の酒は回りが早いと言われます。私もこれは本当のように思うのですが、それよりも昼の酒に感じるのは贅沢さですね。むりやりにでもどこかに後ろめたさを覚えないと申し訳ないというか、そうでないと「人間やめますか」になってしまいそうです。
日本は酒飲みに寛容ですが、それでも白昼堂々と大手を振って酒が呑める絶好の機会といえば、正月です。飽食日本といわれるほど豊かになった現在、正月の膳に並ぶ御馳走もさほど目新しさはなくなりました。それより、明るいうちからなんの気がねなくごろごろできることの方が何よりですね。
ごろ寝でゆっくり酔うには日本酒ほどふさわしいものはないような気がします。大きめのおちょこを、それもひやでゆっくりと。まわりだしたら、ときおり思いだしたようにちびりちびりと。
肴は「蕗のとう」を使った「蕗のとう味噌」と「蕗のとうのおひたし」の二品です。小川の土手縁にはちらほらと顔をのぞかせています。ただ「蕗のとう」はアク抜きするのに少々時間がかかりますし、注意しないと香りまで飛んでしまうなんてことにもなりかねません。ですがこのハードルを超えてしまえば、後は簡単です。
「蕗のとう味噌」は日持ちがいいので多めに作り置きしましょうか。ちょっと舐めてちょこをぐい。これはどちらかというとアツアツの御飯がほしくなりますね。
ザックリ刻んだ「おひたし」こそは酒の肴として文句のつけようがありません。口に入れると、初春の香りがふんわりと広がって行きます。そこでちょこをちびり。おひたしの香がふんわり。ちびり、ふんわり、ちびり、ふんわり、ちびり、ふんわり、ちびり、ふんわり。
寒さはこれからが本番です。冬至が過ぎ、日足も伸びてきているのに、まだまだ寒くなる理由がいまだに腑に落ちません。ひとまずは酔いの中に春風に吹かれる心地を求めましょうか。この肴は「冬来たりなば春遠からじ」 を実感できます。

昼の酒の君を口説こう山笑う 久方曇天
by BigBrother
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