ぼくのオンリィ・イエスタディ「80年代思いだすままに」 その6
グリコ森永脅迫事件
1998.2.17
一昨年2冊の著書が話題になりました。
一橋文哉「闇に消えた怪人」新潮社と宮崎学「突破者」南風社です。この2冊はグリコ森永事件という共通項があります。といっても「突破者」はこの事件で重要参考人とされた人物が著わした本であって、グリコ森永事件とは直接関係ないとも言えますが。
1984年におきた、グリコの社長誘拐事件はその後思いもかけない展開を見せます。「かい人21面相」と署名された脅迫状が新聞社などに送りつけられたり、挙動不審の男のビデオや、犯人と目されるキツネ目の男のモンタージュの公開など、「現実は小説よりも奇なり」の出来事が次から次へと起きました。
愉快犯的な犯人は多くの手がかりを残しましたが、逮捕されませんでした。その上各企業との裏取り引きが行なわれたという風聞が、多くの模倣犯を生みましたが、こちらはあっけないほどに捕まってしまいました。
グリコ森永事件にはどのような背景があったのかは、事件が解明されない以上、謎につつまれたままです。「闇に消えた怪人」はそのような謎に迫ったものです。この事件が及ぼしたさまざまな意味を教えてくれます。また裏社会とグリコ森永事件の関連をもたどっていきます。題名の闇という言葉には裏社会の闇という意味も含まれているわけです。
「突破者」は副題の「戦後史の陰を駆け抜けた五0年」から分かるように、裏社会に関係した著者がその一端を明らかにした興味深い著作です。「闇に消えた怪人」の補完とも言えなくもありません。グリコ森永事件については、1章を裂き、その結末近くで、
犯行の目的は何か。現金強奪が目的のようにいわれているが、このだけの犯罪プロがそんな簡単に足がつくようなまねをするはずがない。現金強奪は、あくまで陽動作戦だ。犯人の狙いは、そうやって脅迫を行ない、世間を騒がせながら、裏取引と株操作を行なうことにあったと思う
という推測を行なっています。
グリコ森永事件はニュースでもワイドショーでも盛んに放映されました。グリコや森永の社員が直接販売したり、あるいは開封されたことが分かるようにと、菓子の包装に工夫がこらされたこともあったように記憶しています。すでに10年以上を経てしまった現在、あの頃のショッキングさもずいぶんと風化してしまいました。この2冊、特に「闇に消えた怪人」は、この事件について再考する絶好の機会になりました。
by BigBrother
[TopPage]
[New]
[BigBrother's Room]
[OnlyYes80]
|