「かまわず酒の肴考」
1998.2.18
「精がつきます!」の一言で有難がってしまうのは、おじさんになってしまった証拠でしょうか?そうそう前に紹介した酔小屋のモツ煮の中には風味づけに丸ごとのニンニクがいくつか煮込まれています。これがスープをたっぷり吸い込んで、結構おつに仕上がっています。たまたま入っていたりすると、「スタミナつくかな」とちょっと得した気分になります。
そうした強壮を増進してくれる酒の肴のなかで、どじょう鍋は線の太い素朴な味わいでありながら、今ではまれになった風味にかえって繊細さを感じてしまいます。
一般にどじょう鍋とは丸ごとのどじょうを煮込む鍋だそうですが、柳川鍋を指すこともあります。私としては柳川の方が好みです。どじょうは傷みがはやく、新鮮なものしか裂くことができないということも私を柳川派にさせました。
開いたどじょうに、香味野菜、特にささがきごぼうをたっぷり入れ、ややあまからいダシですばやく炊き上げます。最後に卵でとじると、野趣あふれる柳川のでき上がりです。新井の亀万ではよく注文したものです。改装前は主人のどじょうを捌く鮮やかな手付きをカウンターで観ることができました。
柳川で一杯傾けると、必ず思いだすのが、どじょうと豆腐を組合わせた変りダネ鍋です。これはどじょうと一丁丸々の豆腐を水の入った鍋を火にかけるというものです。熱さに耐えきれなくなったどじょうたちは冷えた豆腐の中へともぐりこみ、束の間の安息も虚しくそのまま煮上がってしまうというものです。おそらく豆腐にどじょうが隠れた時点でダシに張り替えるのでしょうが、料理法については知りません。どじょうからのうまみが染み込んだ豆腐のうまさは格別だというのですが。
いったいこの鍋が存在するのかは分かりませんが、しばしば耳にします。話の出所は落語にでもあるのでしょうか?もっとも泥にもぐりこむのが十八番などじょうのこと、豆腐の中へなぞなんら造作もないことでしょうが。
by BigBrother
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