「かまわずまたまたまたまたまた酒の肴考」 1998.3.22

 どんなに手がこんでいても甘みを基調とした焼肉のタレだと、思いの外早目に肉を口に運ぶ手の動きも鈍ってしまいます。こうした時に頼むタン塩は食欲を新たにしてくれます。むしろ塩と胡椒を振っただけのタン塩のほうが飽きがきません。ですから、私の場合焼肉屋を選ぶ基準はうまいタン塩をだしてくれる店ですし、タン塩だけで満足できて、後は必要ないほどの店にぜひとも出会いたいですね。
 タンは厚みがあるほうがいいですね。確かに薄いと待たずに焼き上がりますが、その分肉のうまさは失われるような気がします。塩と胡椒だけという極めてシンプルなのがタン塩ですが、塩と胡椒の歴史をつらつら考えてみれば、塩も胡椒も超高級品だった栄光があるわけで、給料のサラリーは塩を買うためのローマの兵士に支払われた賃金から由来すると聞きましたし、胡椒にいたっては同量の黄金と取り引きされたという話です。ですからタン塩のうまさは「シンプル・イズ・ベスト」という経験則の正しさというよりも、もともとは高価な代物を使っているからうまいはずなのです。
 焼きたてをそのままはふはふと、あるいは辛子をつけて。アラ塩にレモンを垂らしただけの薬味も予想外にいけますね。
 タン塩には間違いなくビール、それもジョッキの生ビールですね。胡椒と塩とレモンの香の三位一体を楽しみながら、ぐいぐいとビールを呑む。
 寒さが戻ることはあっても、春は確かにやってきています。一足先に心の中を満開の桜にしましょうか。

レモン
by BigBrother

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