ぼくのオンリィ・イエスタディ「80年代思いだすままに」 その13
ビニ本
1998.3.20
最近阿部定事件をモデルにした映画が封ぎられました。この事件をモデルにした映画はいくか撮影されていますが、1970年代の終わりの大島渚監督の「愛のコリーダ」は最も有名だと思います。この映画が話題になったのは、作品の主題からやや離れたところにありました。賛否両論にぎやかでしたが、この映画を否定する調子は、もっぱらワイセツという言葉で切り捨てていたと思います。これに対してあの憤然たる大島監督の名ぜりふ「ワイセツなぜ悪い?」があるわけです。
これを単なる開き直りと受けとるか、あるいは本質的な問いと受けとるか、ぼくは深い意味を感じるのですが、あなたはどうですか?
その後どちらかというとこれを逆手にとって、マスコミから宣伝してもらった「白昼夢」「華魁」という映画もありました。ちなみにどちらも武智鉄二監督です。原作も文豪谷崎潤一郎ですから、文芸大作てなことになりますか。
この前テレビの画面で各週刊誌の責任者が雑誌のヌードグラビアのことを政治家のおえらいさんからなんのかんの言われていましたが、誰もが周章狼狽し、自社の記事を誇りをもって弁護できないことは、見ていてこちらが情けないと思いました。この問題が重要であることはもちろんですが、かといって、この微妙なことを権威によってワイセツだとか芸術だとか決めてほしくない気がします。ましてはそうした人々からのお墨付きをありがたく頂戴するなんていうのは、ヘソが茶を沸してしまいます。古い言い回しですが。ちょっと日本が世界に誇る浮世絵のことを考えてもみて下さいな。ところでエゴン・シーレを知っていますか?彼の絵画をどう思いますか?
90年代の浮世絵はヘア・ヌード写真集でしょうか?そういえばそのさきがけは、新潟県出身の樋口可南子さんでした。80年代はビニ本だったと思います。これを知らないという品行方正な方もいらっしゃるでしょうが、まあ良識派が眉を顰めた代物だと言えば、見当がつくでしょう。
ビニ本というと大学の友人の一人を思いだします。彼のアパートの近くにこの手の自販機があり、業者が商品を補充していった直後は、どういう加減か2冊一緒にでてくるので、だいたい定まっているこの補充の時を彼は大いに楽しみにして、余分の一冊を知り合いに安く売っていました。あくまでぼくのことではないですよ。
現在マンガはすべてビニ本ですが、かってのようなビニ本はあるのでしょうか?中央病院の横手の自販機はおそらくその手の本らしいのですが、表紙さえ見ることができないという、考えてみれば不思議な自販機です。もしかしたらお金を入れると分かるのでしょうか。
聞くところによるとかってのビニ本が高値を呼んでいるそうです。その大きな要因は希少価値ということにあるそうです。まあ大事にとっておくようなものではないでしょうからね。こうしたビニ本が浮世絵にならぶ芸術だと主張するつもりはありませんが、すでに歴史的な存在になったことは確かなようですね。
by BigBrother
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