谷岡ヤスジ「ド忠犬ハジ公」5巻のみ 集英社 1998.5.15

のんびり物語  かっての谷岡ヤスジ氏の人気の凄じさについては、たぶんぼくの年代までが辛うじて知っているくらいで、それより下の世代はまったく知らないのではないでしょうか?「鼻血ブー」などは流行語にもなったと思います。そういえばまんがのキャラクターをオープニングに使っていた番組がありました。このテーマ曲もまんがのセリフを適当につなげた歌詞に音楽をつけたものでした。番組の内容はまるで覚えていないのですが。
 頭に旗を立てた奇怪なにわとりのキャラクターはぼくも真似して描きました。このにわとりは「アッサ〜」と刻をつげるのですが、さらに「夜に近い」とか「昼に近い」などのフレーズが加わって、何とも言えぬ滑稽味を醸しだしていました。しかし、ギャグにされていましたが、全体として暴力や性描写は過激でした。
 谷岡ヤスジ氏のことを作家の筒井康隆氏は次のように述べています。

日本人の持つマンネリズムの愛好癖のようなものをたいへんうまく利用した漫画家に、谷岡ヤスジがいる。 やつあたり文化論 だがこれは、彼のような天才だからこそできたのである。同じアイデアが、今回はどんなヴァリエーションで登場するのかと読者に期待させる、などという芸当は、彼なればこそであったとぼくは思うのである。むろん、多くの困難や苦しみがあっただろうことは容易に想像できる。彼のアイデアやギャグは次第にエスカレートしていった。ぼくは一時期の彼の漫画を、息をのむ思いで見つめていたことがある。この人は地獄まで行きつくのではないか、そう思ったからである。〜略〜たしかに彼はある瞬間、地獄を垣間見たに相違ない。エログロ漫画の歴史、にではなく、漫画の歴史に、彼は残すべきであろうと思うが、その見識が日本人にあるかどうか疑問である。筒井康隆「やつあたり文化論」(スカトロ漫画)新潮文庫より

ド忠犬ハジ公5

 この「ド忠犬ハジ公」は4コマ漫画の形式をとっています。筒井氏が指摘したようにここでも「日本人の持つマンネリズムの愛好癖のようなものをたいへんうまく利用」しており、なかなかどうして大笑いをしてしまいました。ただ、かっての先鋭的なグロテスクさではなく、ほのぼのとしたグロテスクさに包まれています。そんな言い方ができるとしたらですが。
 ただ残念なことにこの作品は現在品切れであり、手軽に読めません。なんとか残りに目を通したいと願っています。

by BigBrother

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