「とにかくまたまたまたまたまた酒の肴考」 1998.5.21

サボテン  一通り満腹になってしまったのに、まだ飲みたらない。いつものショットバーに足を向けるとするか。お久しぶり。そうだね、結構来なかった。マスター、強いので、なにかかわったものはない?見せられたのは5pほどの芋虫の入ったテキーラのボトル。話の種に試してみるのも悪くない。ストレート、ノー・チェイサーで。強烈な酒であればあるほど、ハードボイルドっぽくふるまいたくなるのが悪い癖だね。仄暗い照明だというのに、ショットグラスの液体がやけに硬質の光を放っている。見るからに強そうだ。独特の匂い。何に喩ればいいのかな。龍舌蘭はこういう香りがするの?サボテンからできるんだと思い込んでいたこともあったっけ。そういえばサボテンには仙人掌という漢字を充てるんだよね。これ何?この粉を舐めながら飲むんだって。え、媚薬?粉も芋虫も?相手がいなければ毒だよ。きくねえ。マスター、やっぱり水もらおう。どうお味は?って、この顔みればわかるでしょ。それにしてもテキーラはみんなこんな味なのかな。もっと飲みやすいのないの?これは飲みやすいと思います。じゃそれ。半分に切ったライムと塩の添えられた小皿が現れる。ライムに塩をつけて齧る。ショットグラスをあおる。たしかにさっきよりは飲みやすいけど、癖あるね。本式の飲み方は柑橘類を左手の人差し指と親指でつまみ、その親指のつけねに塩を載せるのだそうだけど、こっちの方が簡単でいいや。実は正真正銘の飲み方がある。それはメキシコの荒野でなければできない。まずサボテンを探して、その根元を調べなければならないんだ。そこにはトカゲをはじめとした小動物が引っ掛けたオシッコがメキシコの陽射しに乾いて、きらきら輝く塩の結晶になっている。このこびりついた塩を掻き集めて、テキーラをあおるのだそうだ。この塩でなければテキーラの醍醐味を満喫できないんだというんだけれどね。マスター、この話面白いけど、本当かな?でもテキーラと塩の相性はいいよね。マルガリータも塩をスノースタイルにするしね。それじゃ口直しにマルガリータをもらおう。テキーラはカクテルの方がいいや。

by BigBrother

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