吉田聡「スローニン」全4巻 小学館  1998.7.28

 同じ作者の「湘南爆走族」に比べれば、「スローニン」はかなり地味な作品かも知れません。コッセツこと武藤兵庫とラッキューこと諏訪大吉の二人の友情を中心に、彼らのなんでも屋としての活動と、彼らを取り巻く人々との触れあいとが、ギャグを交えながら描かれています。一途にかつひたすら不器用に自ら抱える問題と格闘するひたむきさがひしひしと伝わってきます。
 この「スローニン」の主題は埋蔵金探しの把手漬太郎の言葉に表れているように思われます。

 夢なんぞは見えるもんじゃないから、目をつぶってみる!そして、この壁が夢じゃ!こう離れて立つと、壁までどのくらいあるか、わからなくなる。ひょっとして、あと1ミリくらいなのかもしれんのに、見えんから、10キロも20キロも先にあるように感じる者もおるだろう!逆に、あと20〜30キロ離れていて、一生のウチじゃ届くわけないのに、5、6センチだと思ってあがく者もおる。途中で努力をやめる者も、ムリなのにガンバッとる者も、そうなると失敗者じゃ。じゃが、最初から夢を探ろうとせん者も愚か者じゃ!平凡な暮しに後悔ばかりが残る!ワシは、ワシが見た夢に向かって進み、必ず勝つ!万が一届かなかったとしても、バカな愚か者より、哀れな失敗者の方がマシじゃ。

 登場人物の切ない思いや喜びが肌の温もりが伝わるように実感されます。爽やかな青春ものとして人々に記憶されてしかるべき作品です。ギャグもいまだに新鮮です。

3巻「スクラムトライ」表紙

by BigBrother

 [TopPage] [New] [BigBrother's Room] [Book]