「かくして酒の肴考」 1999.1.31

=とんぶり=

 畑のキャビアのフレーズが当っているかは、キャビアを食べたことのない身にはさっぱり分からないのですが、心地好い食感を愉しむということでは、数の子と似ています。

とんぶり

 とんぶりはほうき草の実です。ほうき草の名前の由来はこれを使ってほうきを作ったことから名付けられています。とんぶりのほうはなぜこのように呼ばれているのかしらないのですが、考えてみれば奇妙な名前ですね。

 とんぶりは思い出の味です。子供の頃母方の祖母の家では、このとんぶりを塩漬けにしていました。これは子供心に驚くほどうまい御飯の友でした。

市販のとんぶり¥118でした

 祖母の家でほうき草を作らなくなって、すでにもう何年もたちます。以来とんぶりを食べる機会はありませんでした。最近このとんぶりが市販されているのを知りました。

 買ったとんぶりには味は付いていません。とんぶり自体はほのかに野菜のもつ甘みがある程度で、癖がない味わいです。大げさにいえば、黒褐色に輝く小粒の実を噛みしめる食感のためだけに存在するようなものです。それは逆に言えばかなり自由自在に味付けができるとも言えます。記憶の中のとんぶりの味わいもおそらく美化されているのでしょうが、珍味の部類に入るうまさでしたから。

 今回はシンプルにだし醤油だけでとんぶりを味わいました。独特の歯ざわりとほのかな風味は冷や酒によく合いますね。

by BigBrother  

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