フリーPC-UNIX(Linux)に挑戦  <その3>
フリーは安い? 1998.5.21

フリーウェアとGNU

 パソコンで善意ある方が作成し特にお金を払うことなく使用出来るソフトの事をフリーウェアと呼ぶのは既にご存知と思います。私も両手では数え切れないほどのフリーウェアを利用しています。フリーPC−UNIX(以下PC−UNIX)では更にソースファイルを公開しプログラムの技術をみんなで共有し発展させていこうという考えからGNU[*1]と呼ばれる多くの無料で使用できるソフトウェアが存在しています。 Linux自体はカーネルと呼ばれる小さなOS[*2]でそれだけではパソコンを道具として使用する事は出来ません。日本語入力システムや文章を作成するためのエディター、WWWサーバープログラムがあってはじめて様々な処理を行うことが出来る様になります。Linuxではこれらのフリーソフトが揃っています。とはいっても今のところWIN95、マックの様に皆さんが会社で使っているようなワープロ・表計算ソフトなど、市販の業務用ソフト[*3]は殆ど在りません。


パソコンのインターネットサーバー

 パソコンレベルでインターネットサーバーシステムを組む場合に限って言えば、インターネット自体がUNIXを土壌として発展してきた事もあり、殆どがフリーウェアで用が足ります。一般的にパソコンサーバーと言うと現在はWINDOWS/NT[*4]が第一候補に上げられます。その辺のパソコンショップではこれしか無いと断言されるかも知れません。少し前ならば、NetWare[*5]が第一候補になったと思いますが、価格の高さやオープン性で無い事などからしだいにその名前が聞かれなくなりました。
 肝心な性能ですが、WINDOWS/NTとPC−UNIXを比較した場合、WWWサーバーとして動作させた時に速度に関しては殆ど違いが無いと言う報告が先日、月刊誌「インターネットマガジン[*6]」に掲載されていました。価格に関してはどうでしょうか。NTをサーバーとして動作させる場合、マイクロソフトのホームページによると。5月29日(金)に発売を予定している。通称「BackOffice Server 4.0」(Link!)では、サーバーが459,000円、クライアントライセンスが5クライアント220,000円の合計で679,000円が最低必要です。PC−UNIXでは書籍に付属しているCD−ROMを使用するならば、書籍を2冊購入してもせいぜい10,000円程度でしょう。もっとも、NTにはマウスで操作することを前提にした電子メールやスケジュール管理などのグループウェアまで入っていますの単純に比較してはいけません。しかし、WWWサーバー、メールサーバ、ファイル、プリンタの共有程度までを考えた場合(その他にSQLなども可能ですが)にその価格の差にはビックリします。ちなみにNetWareですが、オープン価格のため現在の正確な価格は分かりませんが、少なくとも10万円以上はしたと思います。


今までの出費

 パソコン2台をPC−UNIX(Linux)サーバーに接続する為に利用した機材はパソコン本体、WINDOWS95を除いて次の表1の様になります。今回はインターネットに接続しない状態でDNSサーバー、WWWサーバー、ファイルサーバー、メールサーバーを動かしました。NIC(LANカード)などのハードウェアはネットワークOSに関係無く必要です。この中でLinuxに関係あるソフト・書籍代は13、417円です。NTやNetWareの場合は契約(価格)により同時に接続できる台数が決められていますがPC−UNIXはその様な事はありません。ソフトウェアの仕様に依存します。Linuxでは2台目からはこれを再利用できるため0円です。

表1
品  名価 格備 考
SCSI 2GB HD28,508
ケーブル&終端抵抗3,759
ダムハブ13,650
ケーブル 1m714
ケーブル 3m924
ストレートクロス変換コネクタ735
小   計\48,290
RunRunLinux2,854CD-ROM付
Linuxパワーガイドブック2,814
Linuxサーバー構築入門3,780CD-ROM付
小   計\9,448
Linux 6-CD Set '98/13,969通販
小   計\3,969
今までのLAN機材
 PC/AT用NIC)
 ケーブル5M)
 PMCIA LAN CARD)
 98用NIC(LA/T-98) \9,270
29,109
小   計\29,109
合   計\90,816
今後の予定
・サーバー(PC/AT互換)) \100,000
・NIC(NE2000互換) \5,000


 結局安いのか?

 PC−UNIXを使いこなしている人に聞くと、「簡単」、「安い」、「安定」ということになると思います。もちろん使いこなしている人は昔の苦労など忘れてしまっているわけですから鵜呑みにしてはいけません。次の安いはどうでしょう。まだ、サポート会社が少ない現在、問題が起きても基本的に自分で解決するしかありません。趣味でやっているのであれば、1ヶ月パソコンが動かなくてもそれ程こまりませんが、仕事の場合、一週間もパソコンが動かないと大変です。逆に損失が発生しかねません。フリーソフトの為、多くのユーザが使用し不具合の解決が迅速に行われているようですから「安定」は、結構いい線いっているようです。
 趣味ならば「安い」は当てはまるとおもいますが、仕事で使う場合、ネットワークの規模や処理の内容を十分考えないとトラブルは商売のチャンスを失いかねません。そして下手をすればそのトラブルの解決はあなたの仕事になるかもしれません。トラブルは大変なストレスです。趣味なら一種のゲームで案外楽しい物なのですが。


 用語解説
    *1 GNU
      GNU(Gnu is Not Unix)プログラムは、FSF(FreeSofwareFoundation)が開発し、無償で配布しているソフトウェアの総称です。フリーといっても著作権を放棄したわけではありません。
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    *2 OS
      OSはディスクなどにあるプログラムを実行するなどコンピュータでプログラムを実行するための最も基本となるプログラムです。
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    *3 業務ソフト
      PC−UNIXでも動く業務ソフトの日本語版が近く発売されます。また、オムロンから日本語ワープロが9800円程で発売されています。
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    *4 WINDOWS/NT

    *5 NetWare
      ノベル社が販売しているネットワークOSです。PC−UNIXと同様にNT程性能が高いパソコンで無くても動作します。MS−DOS機でも接続できるため地味ですが根強い人気があります。
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    *6 インターネットマガジン
      最近、社長の退陣でニュースとなったASCII社から飛び出した人たちが作った出版社が発行しているインターネット月刊誌。
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by SmallBrother


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