藤子不二雄Aによる傑作ゴルフまんが。ただ、前半部分ではまんがならではの荒唐無稽なところが目立ちます。
前半の敵役、ミスターXはタイガーマスクの虎の穴を連想させ、現時点からすれば設定に欠点が見えるのですが、この「プロゴルファー猿」が登場した 1974年当時、ゴルフを扱ったまんがはこれがはじめてだったそうですから、こうした食いつきを仕掛けておかざるをえなかったとも考えられます。
ぐっとおもしろくなってくるのは、主人公がプロテストを受けようとするあたりからで、派手な対戦はなくなりますが、前にも増してメンタルな駆け引きが熱く繰り広げられていきます。
この「プルゴルファー猿」は、前回の「あした天気になあれ」とある意味では対照的な作品です。
後者はプロテスト合格から全米オープン勝利まで華々しくグレードアップする割には、人間的な成長はほとんど見ることができないのに対し、「プロゴルファー猿」では対戦が地味なものになっていく割には、主人公の著しい人間的成長が描かれています。
もちろん、どちらも甲乙つけがたい傑作まんがですが、ただ「プルゴルファー猿」のラストは泣けます。
by BigBrother