記事一覧

トップ > BB > 80年代 > ジョン・レノンとサリンジャー

ジョン・レノンとサリンジャー

  • ぼくのオンリィ・イエスタディ「80年代思いだすままに」 その3

ナインストーリーズ 1980年12月8日のジョン・レノンの死は、確かに大ニュースだったのですが、先年のダイアナ元皇太子妃の死ほど世間は大騒ぎしなかったように記憶しています。この4月からぼくは大学生活を始め、そろりと酒の味と麻雀をおぼえて、能天気な生活を過ごしていました。
 この年来日するはずだったポール・マッカートニーは、麻薬所持で税関から刑務所に直行し、かなり長い取り調べを受けた後、強制送還されていました。そういえば、これをネタにスネークマンショーの面白いコントがあったっけ。
 レノンはこの年「ダブルファンタジー」を久方振りにリリースして、ヨーコ・オノと枯れた感じでキスをしているカバー写真が篠山紀信さんの撮影だったり、作品の半分はヨーコ・オノの作品だったりと、結構話題になっていました。そのことで口さがない批評家からなんのかんのと言われていました。そういうぼくもジョン・レノンの作品だけでアルバムを統一してほしかったと思っていましたが。
 今ならストーカーという便利な言葉ができているので、「レノンはストーカーによって射殺された」として、当時の事件は大々的に報道されたかも知れません。
 この事件でサリンジャーという作家をはじめて知りました。レノンを撃った犯人は、そのまま現場にとどまり、警官が来るまで持っていた「ライ麦畑でつかまえて」を読み耽けっていたといいます。
 サリンジャーはこの事件をきっかけに読むことになった数少ないアメリカ作家となりました。作品の中では野崎孝訳「ナイン・ストーリーズ」が一番好きですね。短編集で一作をすぐ読み終わることができるからという理由ですが。


トラックバック

この記事のトラックバックURL
//www.iscb.net/index-tb.cgi/546

トラックバック一覧