ウィリアム・アイリッシュといえば、江戸川乱歩の絶賛した「幻の女」(1942年)が有名なんですが、私もようやく3年ほど前に読みました。この「夜は千の目を持つ」も同著者による一冊。ロマンティックな作風で、いわゆるホームズばりの推理と謎解きを重視した本格探偵小説ものとは違いますが、そこのところがかえって好きですね。
ウィリアム・アイリッシュはジョージ・ホプリー、コーネル・ウールリッチの複数のペンネームを持ち、「夜は千の目を持つ」はもとはジョージ・ホプリーで発表。どの著書のどなたの解説だったか忘れましたが、このウィリアム・アイリッシュは変わり者だらけの作家の中でも、とびぬけて変わり者だったそうで、特にその死に至る経緯は覚悟の自殺だったとしか言えないと指摘されていたのが、印象的でしたね。
私はこの題名の方を以前からジャズの曲名として知っていました。変わった曲名だと思っていましたが、演奏はてんで記憶に残っていません。この著書を読んでから、現金なものでジャズの方が気にかかるの何の。
ジャズの方ではスタンダードナンバーの一曲。多くの名演があります。数曲聞いた中ではジョンコルトレーンがアトランティックレコードで演奏した「夜は千の目を持つ」が現在のところ一番好きですね。