Bud Powell'57
1 DEEP NIGHT
2 THAT OLD BLACK MAGIC
3 'ROUND ABOUT MIDNIGHT
4 THOU SWELL
5 LIKE SOMEONE IN LOVE
6 SOMEONE TO WATCH OVER ME
7 LOVER COME BACK TO ME
8 TENDERLY
9 HOW HIGH THE MOON
『ディープナイト』は「クール・ストラティン」の悼尾を飾るわが愛聴曲だ。ソニー・クラークがそものもこの曲をレコーディングしようと考えたのは、バド・パウエルの演奏を聴いたからだという。
現在バド・パウエルの『ディープナイト』は「バド・パウエル‘57」で聴くことができる。このレコードをソニー・クラークがじかに聴いたかは知らないが、いずれにせよ、彼が耳にした演奏とそれほど変わらないはずだ。
「バド・パウエル‘57」は1957年再発時のタイトルで、もとは「ジャズ・オリジナル」という。1954年と1955年の演奏を含んでいる。『ディープナイト』は1954年の音源で、このころは絶頂期を過ぎ、指のもたつく演奏と酷評されるようになる。
パウエルの『ディープナイト』はトリオ演奏だ。ソニー・クラークのカルテットの演奏もそう華々しいものではないのだけれど、トランペットとアルトサックスがある分メリハリのある演奏なんだということを納得する。
いったい、このパウエルのピアノの狂った感じは何だろう。「指が動かないせい」と片付けて済ませるには、無性に気味の悪さが残る。彼のピアノは他の演奏者を巻き込み曲全体を呪縛する。聞けば聞くほど不思議さが募る。彼の探り出す音は隠れた存在の不可解な呻きのように・・・・。
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