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高橋鉄「浮世絵=その秘められた一面」河出文庫

ファイル 254-1.jpg 日本が世界に誇れる芸術に浮世絵があります。喜多川歌麿、安藤広重、葛飾北斎、東洲斎写楽などの名前が、お茶漬けの記憶とともに浮かんできます。現代のわれわれにとってまだまだ疎遠となったわけではない江戸時代の浮世絵ですが、その実浮世絵についての正確な知識があるかというと、私を含めて多くの人が心もとないのではないでしょうか。

 この「浮世絵」は浮世絵とその成立を可能にした社会背景、当時の人々にいかに歓迎され、あるいは為政者からいかに扱われたかが分かりやすく、しかもおもしろく描かれています。これが抜群におもしろいのは浮世絵の歴史を春画の側面から考察しているからです。

 春画と聞くと、顔をしかめる人もいるかもしれませんが、筆者によれば、「春画を描くためには、すぐれた技量と、独創的な観察力と、人間に対する理解と批判が必要」であって、決して片手間にできるもではないのだそうです。こうした観点から、浮世絵絵師たちの興味深い悪戦苦闘の芸術史が語られた一冊です。

by BigBrother


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