虫から広がってゆく豊富な話題に満ちた一冊。著者のトンボとりの熱中の記述には、こちらも捕虫網を持って、鬼ヤンマや銀ヤンマを追いかけまわした記憶が浮かんできました。
著者はコレクターなんですよね。そこが前回の「ロン先生の虫眼鏡」の著者とは大いに違うところで、ロン先生はナチュラリストというのでしょうかね。ロン先生が標本への興味がある日突然一変し、庭先ですべて燃やすという印象的な場面があります。コレクターの呪縛から自由になれたことにうらやましさを感じますね。どちらかというと、私も蒐集癖が強いほうなので。
「虫の宇宙誌」の著者が自然に対して無理解だと言っているわけではありません。むしろ、コレクターとしての観点から、自然や虫たちのことを深く考えているといえます。