記事一覧

トップ > BB > 80年代 > ザ・マンザイ

ザ・マンザイ

  • ぼくのオンリィ・イエスタディ「80年代思いだすままに」 その4

わッ毒ガスだ 1980年代はバブル経済に浮かれた時期ですが、今から思えば奇しくもその露払いのかたちとなったのが、マンザイブームでした。下宿の食堂のテレビの前で、学生たちと笑い転げていたものです。ツービート、B&B、紳介・竜介、オール阪神・巨人、西川のりお・よしお、セントルイス、など。すでに大御所をだったヤスキヨや一部の中堅どころをのぞけば、多くのコンビが若手でした。ザ・ボンチは「恋のボンチシート」を大ヒットさせていましたっけ。そういえば、「そ~うなんですよ」の川崎さんと「そ~なんですか」の山本さんのお二人はどうしているんでしょう。
 あの頃の熱狂的な人気は、今からすればまったく不思議なことに思えます。先日ツービートのビートたけしこと北野武さんが、「ブームが来るまで、一月数千円の収入しかなかったのが、気がついたら月収一千万で、めちゃくちゃな金の使い方をした」という趣旨の発言をしていました。残念ながら、どうしてあの様なブームが到来したのかについての北野武さんのコメントはありませんでした。
 その後マンザイブームで登場してきた若手が中心になって、「おれたちひょーきん族」が「8時だよ、全員集合」の裏番組として、放映されました。かってのドリフターズの怪物番組も追撃者に抜かれ、80年代の前半についには幕を閉じてしまいます。ドリフで育ってきた世代の私からすれば、ちょっと淋しさもありましたが、その頃は生意気にも「ドリフの笑いもパンチがなくなった」などという感想を抱いていました。
 当時なぜ多くの人があれほど笑いに飢えていたのか、本当に不可解です。いったいその背景はなんだったのか分かりませんが、敢えて犯人探しをしてみましょうか。
 当時財政再建のために、福祉関係の支出が削れていきました。文教費も例外でなく、国立大学の入学金と授業料が前年度の2倍以上となっていったときです。また、校内暴力やいじめの問題が深刻になったのも80年代ですから、世間一般は背後に潜むせち辛い世相を敏感に嗅ぎ取っていたからかもしれません。
 ツービートのギャグが受けたのは、そうした世相を逆手にとっていたとも言えなくもありません。賛否両論を巻き起こした一連のブラックジョークがある意味では人々の不満を代弁していた、と言うと大げさでしょうか。もちろん文句なく面白かったのですけれども。
 現在聞くところによると、お笑いブームだとも言われています。そう言えば、80年代のように、教育の現場で深刻な事件が起きていますし、さらに日本経済も悪化しています。ただ他のアジア諸国に比べれば随分恵まれているのですが。こうした中で、再びかってのようなマンザイブームは起きるのでしょうか。それにしても近頃の社会はジョークにしようにも、もうまったく支離滅裂で、なんともしようのない世相のような気もしますね。


トラックバック一覧