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藤子不二雄「怪物くん」全13巻 小学館

ファイル 745-1.jpg 藤子不二雄さんの「怪物くん」はテレビアニメでも大ヒットしました。むしろ、私にはテレビアニメのほうがぴったりきます。私が覚えている限りでは二度アニメ化されました。私の年齢からいって、最初のほうが印象が強かったですね。白石冬美さんの怪物くんの声はぴったりとして、まさしくはまり役だと思いました。ところで、白石冬美さんはアニメ化された「巨人の星」で、星飛雄馬の姉の明子役でしたが、子ども心に違和感を感じたのを思い出します。エキセントリックなキャラクターを表現するのにふさわしい声ではないかと思います。
 さて、このマンガは藤子不二雄Aこと、安孫子素雄さんの手になります。藤子・F・不二雄さんに比べると、「魔太郎が来る」「ブラック商会変奇郎」のように、怪奇趣味やオカルト的なものを取り上げることが多いようですし、「プロゴルファー猿」のように、一つの主題を追求することがお得意のようです。黒っぽい絵柄もこうした内容に合っています。後の多くの作品にとって、原点的な作品ですね。


藤子不二雄「プロゴルファー猿」全19巻 小学館

ファイル 255-1.jpg  藤子不二雄Aによる傑作ゴルフまんが。ただ、前半部分ではまんがならではの荒唐無稽なところが目立ちます。

 前半の敵役、ミスターXはタイガーマスクの虎の穴を連想させ、現時点からすれば設定に欠点が見えるのですが、この「プロゴルファー猿」が登場した 1974年当時、ゴルフを扱ったまんがはこれがはじめてだったそうですから、こうした食いつきを仕掛けておかざるをえなかったとも考えられます。

 ぐっとおもしろくなってくるのは、主人公がプロテストを受けようとするあたりからで、派手な対戦はなくなりますが、前にも増してメンタルな駆け引きが熱く繰り広げられていきます。

 この「プルゴルファー猿」は、前回の「あした天気になあれ」とある意味では対照的な作品です。

 後者はプロテスト合格から全米オープン勝利まで華々しくグレードアップする割には、人間的な成長はほとんど見ることができないのに対し、「プロゴルファー猿」では対戦が地味なものになっていく割には、主人公の著しい人間的成長が描かれています。

 もちろん、どちらも甲乙つけがたい傑作まんがですが、ただ「プルゴルファー猿」のラストは泣けます。

by BigBrother


タグ:藤子不二雄 ルゴルファー猿

水木しげる「悪魔くん千年王国」講談社 全2巻

ファイル 744-1.jpg ちょとした流行語にさえなった「ミレニアム」は、ラテン語由来で「千年間、千年期」という意味だそうです。日本人にはとって、この「ミレニアム」は区切りが良いということを除けば、たんなる年月の経過にすぎませんが、キリスト教圏の人々にとっては微妙な感情を引き起こす言葉だと聞きました。それは同時に、この言葉が「至福千年、千年王国」を意味するからだそうです。この宗教的ヴィジョンを示す言葉は、私のような非キリスト教徒には、むしろエキゾチックに響きます。
 この「至福千年」はさまざまなバリエーションがあるそうです。でどころは複雑らしいのですが、もっとも有名なのは、聖書の「ヨハネ黙示録」が予言する世界の終末とキリストの再臨による神聖統治の記述だそうです。
 わたしは「ミレニアム」といわれても、別段これといった宗教的な感情におそわれることはありませんが、決まって思いだすのが、水木しげるさんの「悪魔くん千年王国」です。
 ところで、水木しげるさんは同じような設定でありながら、内容が異なる「悪魔くん」をいくつか描いています。
 私が最初に出会ったのは、今から二十数年ほど前に「少年ジャンプ」に連載された「悪魔くん」でした。冒頭から悪魔を召喚するするまで、実におどろおどろしい雰囲気に惹きつけられました。不気味な蛙男、不可思議な書名の数々、梟女の幻想的な登場、魔法陣と「エロイムエッサイム」の呪文。少年の夢想をかきたてる小道具がいたるところにちりばめられていました。
 後半部分はリアルタイムでなく、ずいぶん後になって読みました。悪魔くんが警官隊の発砲で死ぬ場面が印象的ですね。
 この「悪魔くん千年王国」は他のものの中では一番劇画的でシリアスです。水木しげるさんの独特の土着的なユーモアがでていないとも言えます。でも、わたしは水木しげるさんの「悪魔くん」と言えば、これを思い浮べますし、好きな作品ですね。


古谷三敏「ダメおやじ」1巻のみ 小学館

ファイル 247-1.jpg  最終的に何巻になるのかわかりませんし、三人の子どもの末っ子は途中で生まれたように私は記憶しているのですが、1巻ですで小学生ほどに成長しているので、この巻の前に話があったような気がします。いずれにせよ最終的には、アウトドアライフのノウハウを中心とした蘊蓄まんがになっていったように覚えています。

 1巻の話は思っていたよりも悲惨でした。競輪にのめり込んで家族からいっそう相手にされなくなったり、リストラで北海道へ飛ばされる途中で自殺を考えたり、赴任先から着の身着のままで上野駅にたどり着いた時には精神に変調を来していたりと、だめおやじというよりも、考えようによっては現代の中年サラリーマンにとって切実な問題が描かれていています。現在の不況下の日本で退職金を払わないためにいやがらせで辞職に追い込む企業があることを思いあわせると、笑えないギャグまんがになってしまっている観があります。そう言えば「ナニワ金融道」の青木雄二氏が朝日新聞で、日本のサラリーマンは労働者意識に欠けているし、自分たちの地位の向上を考えるのならぜひ選挙に行くべきなのにそれもしない、という主旨のことを述べられていましたが、本当にそうだと思います。

 だめおやじは趣味の世界に自分の生きがいを見いだすことができました。はたして現在の日本で自分の居場所は見つけだせるのでしょうか?

by BigBrother


タグ:古谷三敏

菅野美穂「NUDITY」ルー出版

ファイル 244-1.jpg いわゆるひとつのヘアヌード写真集ですが、今を時めく人気アイドルがモデルとなったことが多くのヘアヌード写真集の出版の経緯と趣を異にしたため、マスコミが大騒ぎしました。果ては当の人気アイドルの涙の記者会見もあったりして話題になった一冊です。

 よく分かりませんが、内容自体はさほど際立ったものではないのかも知れません。おそらくもっとプロポーション抜群のダイナマイトボディのモデルが絵画的なポーズを決めている他の写真集が存在することでしょう。それに比べれば、この写真集は人気アイドルの等身大の姿とその変化を表現しようと意図しているように思われます。もちろん、あくまでフィクションとしてでしょうが。それは成功していると思います。ただやっぱりもっと露出度があれば・・・。やっぱりぼくは芸術とは無縁なただのすけべなおじさんですね。

by BigBrother


タグ:ヘアヌード

楳図かずお「まことちゃん」全24巻 小学館

ファイル 246-1.jpg 西長岡のブックオフは気楽に立ち読みができることもあり、私にとって貴重な場所になっています。夕方訪れていつものように店内を回っていると、楳図かずお「漂流教室」全5巻がそっくり揃って、ただしバラで置いてあったので早速読みはじめました。再読なのですが、かなり前に読んだので、あらかた忘れてしまっていました。実に面白く我を忘れて没頭し、いよいよ最終巻を手にとろうとすると、棚から消えているのです。どうやら誰かが5巻だけ買ってしまったようなのです。あともう少しで読み終っていたのに・・・・。まったく残念でなりませんでした。それはともかく楳図かずお「漂流教室」の凄さを再認識した次第です。
 ところで楳図かずお氏は既に恐怖まんがの分野で押しも押されぬ大家でした。この「漂流教室」というどちらかというとSF色の濃い作品を読んだ時、こんな作品も書くのだなと思った記憶があります。後に「わたしは真悟」などのSF的作品を多く手掛け、この分野でも大いに筆を振るうとは思いも寄りませんでした。
 また予想外であったのはギャグマンガの分野でもすばらしい作品を生みだしたことです。まず頭に浮かぶのが、「アゲイン」です。これについては、他日述べることもあろうかと思いますので、詳細については割愛しますが、沢田まことをはじめとした沢田一家など主要人物が登場しています。
 「アゲイン」にもまして、はちゃめちゃなギャグにあふれているのが「まことちゃん」です。下ネタ満載ですが、くだらなさをはるかに越えたヴァイタリティーが感じられます。説明を要しない面白さです。もっとも解説が必要ならギャグとは言えないでしょうが。

by BigBrother


タグ:楳図かずお

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