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小松左京「日本アパッチ族」光文社文庫

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 最近のマイブームはSF小説を読むことです。

 小松左京と聞くと、「日本沈没」が脳裏に浮かんだあなたは、私と同世代かそれより上の世代ですね。「日本沈没」がベストセラーになったのは私が中学生の頃、1973年で、本持ってるけど、読んでいないんですね。
 そしてこの9年前に書かれたのが、著者の処女長編「日本アパッチ族」なんですな。
 これはおおむね好評をもって受け入れられたようです。解説にそうした反響が紹介されていますが、SFというよりも、風刺小説として受け取られたことがプラスに作用したのでしょう。
 実際にこの小説、社会批判ととれる所が豊富なんです。最初の方で死刑制度や刑罰についての風刺があるし、途中も様々な風刺があって、最後に当時の共産主義国家への皮肉も効かせている。私自身SF小説というよりも、大衆小説としてよくできた小説という読後の印象を受けましたから、この作品を風刺文学として世間が持ち上げてくれることは、作者にとって計算済みだったかもしれませんね。
 マスコミについても皮肉たっぷりに書いているんですが、それを読むにつけ、昨今のマスコミの振る舞いのあれこれを言い当てているようで、興味深いです。
 ところで、この作品には冒頭で人間の尊厳を貫き通して、死んでしまう人物が描かれているのですが、これが全体のカギになってる気がするのですけれど、どうもこれも著者がこの作品の受けを良くしようとした仕掛けの一つなのかって勘ぐってしまいます。
 いずれにせよ、単純明快なSFだったら、当時黙殺されたんではないでしょうかね。考えすぎかな。


コメント一覧

未承認 (05/04 03:23) 編集・削除

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BB (05/05 10:54) 編集・削除

宮城さん、書き込みありがとうございます。
日本沈没にがぜん興味がわきました。探してみましたが、どこぞにまぎれて、見つかりません。図書館に借りにでも行って来ようと思います。
 

未承認 (05/07 22:29) 編集・削除

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BB (05/09 18:36) 編集・削除

 三原和さん、書き込みありがとうございます。
 
 小松左京の八面六臂の活躍をすべて知っているわけではないですが、万博に関係したこともちらっと聞いていました。

 NHKの番組にも出てましたね。覚えているのは富田勲の音楽を本人を交えて、紹介していたFM番組。他にもあったと思いますが、後は全く忘れています。

Master-U (05/10 03:53) 編集・削除

 こんにちは。たった今、読了したところで
このブログを見つけました。
 筒井の処女作「東海道戦争」とノリというか、随所に現れる風刺や落語みたいなオチがそっくりな気がしました。時代の空気なのでしょうか。

BB (05/10 09:40) 編集・削除

 Master-Uさん、書き込みありがとうございます。
 SFが広く認知されていなかったときは、風刺があること(文明批判、社会批判)が出版社から求められたみたいですね。
 小松左京のショートショートを少し読むと、案外ドタバタものがあったりして、筒井康隆のショートショートと似ているところが結構あるという印象を私も受けました。
 

Master-U (05/10 10:30) 編集・削除

 なるほど、そういう時代背景があったのですね。
過去の読書録に「エデンの戦士」を発見しました。高校生の頃、田中光二が好きで片っ端から読んだ記憶がよみがえりました。この手の文庫は大学付属図書館の書庫に大量に退蔵してあったりして「日本アパッチ族」もそこから発掘しました。

BB (05/11 18:11) 編集・削除

 Master-Uさん、書き込みありがとうございます。
 
 田中光二の名前は田中英あ光ー太宰治つながりで知っていました。でも「オリンポスの果実」も田中光二の作品も最近まで知らなかったんですが、ポチポチと読んでます。

 今手にしているのが、「失なわれたものの伝説」まだ読了してませんが、ハードボイルドタッチの作品で、SF作品ではないみたいですね。

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BB (05/17 10:51) 編集・削除

三原和さん、書き込みありがとうございます。
小松左京さんは「果てしなき流れの果てに」(1965)「ゴルディアスの結び目」(1977)など、今も同時代感覚を失っていない作品を生み出されており、先駆性には度肝を抜かれるばかりです。一方で「エスパイ」(1966)のような長編娯楽作品も書いているんだから、ほんと化け物みたいな人ですね。

ホームページ拝見させていただきました。